研究室で過ごす【概念編】
研究室はいつ行ってもいいし自由。
だから自分を律して研究室で過ごさないといけない。
自戒として書いてるので自分はできていないことも多々ある。
関心と能力が前提
研究するかどうかは、関心>能力>>時間
「時間がない」というのはほとんど本質的な理由ではない
自分の時間に対して裁量があるなら、どんなに忙しくても関心のある領域には時間を使う
研究に時間をさけていないのなら、それはその人の忙しさではなくて無関心か無能力に起因している
関心と能力が前提でそのあとに時間の作り方を考える
関心があることを研究課題にできるといいんだよな本当は。
自分は何に関心があるのか知っておかないといけない
先生から天下りに与えられた課題で結構です、は悪手となる可能性がある
ただし大きく間違えることがないのは大きな利点
先生も詳しくアドバイスできる可能性が高い
研究室選択が重要な理由でもある
ただ都合よく好きな研究にありつけることは中々ない、何を重視するか
興味が持てるテーマをしたいのか
どうしてもやりたいテーマがあるのか
早めに業績が欲しいのか
もし関心が無いなら無いなりに、興味深い部分やできそうな部分を探す努力が要る
研究に時間をかけやすい環境を作る
パーキンソンの法則により、人は与えられた余暇をすべて使ってしまう。
バッファーをただ空けるだけは無意味な場合が多い。
朝来て夕方 or 夜に帰る、が理想
生活がすさむとまとまった時間が取れなくなる(経験上)
研究室をできるだけ居心地のいい場所にする
作業は基本的に研究室で行うように決め、その時に一番得をするような環境を作る。
自分のお気に入りのキーボードを持ってくる
好きな飲み物を研究室の冷蔵庫に入れておく
いっそ研究室にノートPCも置いてしまって、移動を楽に
スマホを触りにくい環境にする
スマホはそこにあるだけで時間泥棒
意図的に依存性を持つように設計されているので時間管理・意思の問題ではない
スマホの充電器をディスプレイの裏に用意しておく。来たらスマホを挿して目視できないようにする。など対策が要る
作業空間からできるだけ文字をなくす
目に入る部分がごちゃごちゃしていると選択肢が増えすぎて気が散る
途中にノート取るのは大事だが、初期状態はごちゃごちゃさせない
ノートを散らかして置いたままにしないとか
ブラウザのTabを散乱させないとか
基本姿勢は「やってみなきゃわからない」
研究は不確実性の高いことをやっているので、うまく行くかどうかは事後的にしか分からない。
そして悲しいけれど、やってみて絶対成功ということにはならない。でもやってみなきゃ分からないからやる。
推測で生み出した結論はN次情報を元に判断している。
誤差が累積して計り知れなくなり、判断を誤る。
やると不確実性が下がって、より高度な問題に取り組めるようになる。
やってみなきゃわからないからといって、テキトーに行動すれば良いわけでもない
「今やっている作業が問題提起に沿っているか」確認しながら進む
あなたの研究によって最終的に明らかにしたいものはなにか?
到達目標に"あたり"をつける。北極星みたいなもの。
到達できなくても曲がっても、どちらが北か把握していれば長期的には遠くに行ける。
研究での北極星は「決められた問題やその解決策」であることが多い。
先生と一緒に研究テーマを決めるはず。そのときに設定した課題。
最終的にはそれが主張となり、論文のタイトルになる。
北極星が決まったらあとはどれだけ長距離を走れるか
後に振り返ると、かけた時間が成果になるんだと分かった
なるべくして失敗するのだから、かけた時間だけ遠くに行ける
問題にぶち当たらなかった未来というのはなく、ショートカットは不可能である。
自分が最善を尽くした結果、問題にあたった。当時やり方が悪いということを知るすべはない。
コペルニクス的転回は必然だと思う。何回世界をやり直しても天動説からスタートする。
その失敗は本来的にぶち当たるものであって解決には相応に時間がかかる。
もちろん一度当たった失敗を次に踏まない努力は必要。
実際には特定の問題解決をするだけでは評価されない
やったー!結果が出たぞ!!
悲しいことに実際にはある問題を解決しただけでは足りない。
正しくて無益ということがある(≒正しいことが有益とは限らない)
私は学会で特定のごく一部の人にしか見てもらえなかったことがある。
自分を評価するのは自分ではなく他の先生方。
論文も洪水のように溢れかえっている中で、他の先生方はより「良い」「正しい」ものを選別して情報を得ている。
「良い」:適用範囲が広い、シンプル、実現しやすい
「正しい」:他の知との整合性、公正、利他的
実際には「面白い」かどうかもみていると思う。言葉にしづらいが「目新しいのに論理が通ってる」もの。知的好奇心をくすぐるもの。
見てもらうには、問題解決に加えてコンセプトの面白さ・一般適用可能性を示す必要がある
コンセプトの面白さ:
相手を納得させる論理の通った、新規性のあるアイデア
一般適用可能性を示す:
このコンセプト・論理ならば、前提条件を逸脱しない範囲の様々な条件で成立することを示す。
製品に使われるプログラムはテストコードで複数のケースに対して正しく動作することを示すことで、そのコードの正当性を間接的に示すことがよく行われるが、これと同じこと。
問題解決しているか・コンセプトの面白さがあるか・ 一般適用可能かを定期的に確認する。
工夫は共有されるべき。ただしできるだけ工夫側の手間なく
他人のカスタマイズが見えるということ
実際に動いている・今使っている物は即時共有されるべき
共有するぞ、という気合いや手間を不要にする施策があるといい
Slackのグループはできるだけ鍵をかけない、個人DMを使わない。
発信側の手間は変わらず、だれかが見に来る可能性が生まれる
重複する質問を防げる可能性がある
個人ではなく研究室GitHubリポジトリにする。
メモを取るときは研Wikiに書き込む
特におすすめなのが知識を貰ったほうがWikiを書くこと。
わからない人目線でのドキュメントが出来てうれしい。
Wikiの利用率を上げる施策でもある。
学生の研究は成果よりプロセス重視で
社会は成果主義だが、学生研究は成果を出すためのプロセスを深く学ぶ場だと思っている
プロセス頑張れば成果出る可能性も高い、逆は起こり得るが狙っては起きない
研究は不確かなことをしているから上手くいかない場合だってある。そのときあなたに残るものは?
あなたが時間をかけて根気よくやったかどうか、どう考えてやったかというプロセスの部分
だから学位論文は成果ではなくプロセスに加点される
(先生にもよるけど。あと博論は明確な成果が要る。)
必ずモチベが落ちるときがやってくる
私だったら特にM1後半~M2前半
打てる弾(アイデア)には限りがあり、弾を打ち尽くし実力が足りず先に進めなくなる
すると目標まで到達する気力が低下する
ピーターの法則:能力の限界まで出世すると必ず人は組織内で無能になるという法則
「モチベの低下」と「関心が前提」は対立するので止揚(アウフヘーベン)が必要
ここからは自分はできなかったことだけど… 自戒として書いてるので。
対策1:やる気に左右されず、とにかく朝から夕方まで研究室に行く
条件が整ってるならあとはやるだけであり、やる気なんてものは関係ないとする考え方
やる気がなくてもやる環境に身を置く
対策2:すぐにやると有利(放置すると不利益が発生する)という理解をする
早めに相談する方がいい理由でもある
迷えば迷うほど損害リスクは高くなる
対策3:自身をモチベートし、心を癒せる評価指標を設定する
外部の評価は重要だが、自分のモチベーションが続くかとは別問題
京都大学たにちゅー先生の「筆頭ポイント:HP」はこの考えを基にしている
外部からの評価ではなく、自分のアクティビティ管理
行動及びモチベーションマネジメントのための数値指標は行動への有効性に意味がある
私たちをどれだけモチベートし、心を癒せるかが重要だ。
「正当な評価」や「客観的な評価」はここではそれほど重要ではない。
便利で実効的で、自分の背中を押してくれる評価指標でなければならない
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