非行や暴力に影響する子ども時代の重要因子
ケンブリッジ大学の犯罪学者、 デイヴィッド・ファリントンは、ロンドンの男性四○○人を対象に八歳から六一歳まで追跡研究を行い、ティーンエイジャーのときに暴力的だった子どもは、その後の人生でも同様の行動をとりつづけていたことを明らかにした。 また彼は、 その子どもが長じて暴力犯罪を起こすことを予測させる、子ども時代の最も重要な危険因子も指摘した。 その危険因子とは、危険を冒すことに抵抗がない、 IQ (特に言語能力)が平均より低い、 家庭が崩壊している、保護者のしつけが厳しい、 活動過剰 (ADHDなど)、 そして実家が大家族、だ。 こういった危険因子があればあるほど、 その子どもがやがて暴力行為で刑務所行きになる可能性は高くなる。 しかしファリントンによれば、このような要素があるだけでは、人は罪を犯さないという。 通常、暴力行為が起こるときは、その前に退屈や怒り、飲酒、ストレス、 仲間 (男性) にけしかけられる、といった状況がある。 こういう男性は、たとえ冷静になろう、悪いことはするまいと思っていても、 怒りや飲酒またはその両方によって自制心が低下してしまうことが多いのだ。 平和な社会にとって、 衝動的行動を抑える能力がいかに大切かは、このことからもよくわかる。 もちろん、暴力行為で有罪判決を受けた人は、たんに一度きりの不幸な出来事で躓いたわけではない。 たいていの場合それは、好ましくない行動やちょっとした違反行為が日常茶飯事のライフスタイルを続けた結果なのだ。なぜ私たちは友だちをつくるのか ロビン・ダンバー • 295ページ 発達障害と非行は相関しており、非行と犯罪も相関していると言われる。