選択肢が多すぎるほど選ぶのをやめる
有名な「ジャムの実験」 をご存じだろうか。米コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授が行った実験で、もともとは「品揃えを豊富にしたほうが売上が伸びる」という、 あるスーパーの経営方針を確かめる狙いの調査だった。 ところが逆の結果が出たのである。24種類のジャムを置いた売り場と、 6種類しか置かない売り場でどちらのほうが売れるかを比較し、当初はもちろん 24種類置いた売り場のほうが売れるだろうと予想した。 だが結果は、 24種類の売り場では3%の人しか買わなかったのに、 6種類に絞った売り場では30%近くの人が買ったというのである。 この実験の教訓を教授はこう挙げている。 「選択肢が多ければ多いほど人は選ぶのに悩み、 選んだ結果が本当にいいのか気にもなり、 自信をなくし、 結局選ぶのをやめてしまう」と。 そう、選べなくなるのではなく、「選ぶのをやめてしまう」のである。 買うのをやめてしまうのだ。 商品を試しに手に取ってみる、 という行動が減っている理由のひとつである。近くのコンビニやスーパー、モールなどに行けばよくわかる。ネット通販は言わずもがなだ。 選択肢が溢れすぎている。 そうなると、 人は買うのをやめてしまう。 逆に 「買うモノがすでに決まっている人」、つまりファンの存在価値が高まるのは言うまでもない。ファンベース / 佐藤尚之 ・63ページ