道徳的なカルトと有害なカルトの違い
ただし、 何ごとでも同じだが、 良いカルトと悪いカルトの二つにはっきり分かれているわけではない。 さまざまに程度が異なる 「カルト的なもの」 が存在しているのだ。 『ザ・カルト・オブ・トランプ』の著者で、アメリカ屈指のカルト専門家でもあるメンタルヘルスカウンセラーのスティーヴン・ハッサンは、健全で建設的な集団から有害で破壊的な集団まで、 カルト的集団が及ぼす影響には段階的な相違があると説明している。ハッサンによれば、 破壊的な側に近い集団は三種類の策略を利用する。 知らせる必要のあることを知らせない、自分たちの主張を受け入れやすくするために事実を歪曲する、そしてまったくの嘘を伝える、という三つだ。いわゆる道徳的なカルト(ハッサンはスポーツと音楽のファンを挙げている)と有害なカルトとの大きな違いのひとつとして、 道徳的なカルト集団は自分たちが何を信じているか、 何を求めるか、 メンバーに何を期待しているかに正直である点を挙げることができる。そして、集団を抜けても深刻な結果になることはほとんどない。カルトのことば なぜ人は魅了され、狂信してしまうのか / アマンダ・モンテル 27ページ