話し合い
そもそも話し合えば誤解が解けるかもしれないという考えは、その理由はどうであれ、そんな話し合いに赴くのは潔しとしないという考えと、ほとんどつねに表裏一体をなしている。これまで二十回もの機会に腰を低くして意気地のなさを見せていた相手も、二十一回目には尊大に振る舞うかもしれず、そんなときこそ、こちらは頑なに傲慢な態度をとるのをやめて誤解を解く好機であるにもかかわらず、反証を示さないから誤解は相手の心に根を下ろしてしまうのだ。
失われた時を求めて
11巻 p.296
コミュニケーションブレイクダウン