精神薬のリスク
経済的資源の豊かな4つの国 (オーストラリア、カナダ、イギリス、アメリカ) では抗うつ剤(プロザック)、抗不安薬 (ザナックス)、催眠薬 (アンビエント) のような精神的治療薬に対して大量の資金提供がなされているにもかかわらず、 気分障害や不安症状は全く減っていない (1990年~2015年)。 この結果は貧困やトラウマなど、 精神疾患の危険因子が増えていることを考慮に入れた解析をしても、 また統合失調症などの重度精神疾患を加味しても変わらない。ドーパミン中毒 アンナ・レンブケ 135ページ
最近のデータが示しているのは、以前には「癖になることはない」と考えられていた抗うつ薬でさえ、依存症を引き起こす可能性があり、 長期的にはうつ病を悪化させる可能性があるということである。 「遅延性気分障害」と呼ばれる現象だ。ドーパミン中毒 アンナ・レンブケ・136ページ
何年にもわたって多くの患者を診てきて、精神科の薬を飲むと苦痛な感情からは一時的に逃れられるが、自分が感じられる感情の幅が狭くなった、 特に深い嘆きや畏怖の念といった強力な感情を感じる力がなくなってしまったと言われることがあった。ドーパミン中毒 アンナ・レンブケ 136ページ
世界に適応するために自分自身を薬漬けにしているが、 私たちはどんな世界に住んでいるのだろうか。 痛みや精神疾患を治すという名目で、私たちは人口の大部分を、 実際には耐え難い状況にあるのにそれに生物学的に無関心になるようにしてしまっていないか? さらに悪いことには、向精神薬は人々、 特に貧しい人や失業者、市民権を奪われた人を社会的にコントロールする手段になってしまっていないだろうか? 向精神薬は貧しい人々、特に貧しい子供たちに対して多く処方されている。ドーパミン中毒 アンナ・レンブケ・138ページ
どうか誤解しないでほしい。 薬物療法は命を救う道具であり、 臨床的実践の中で使えることに私は感謝している。しかし、 人間の苦しみを薬で除去することには犠牲がつきものなのだ。 これから見ていくように、 薬を使う以外にもっと上手くいく方法がある。 苦痛を受け入れる、 という方法だ。ドーパミン中毒 アンナ・レンブケ 141ページ