破局
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前作『改良』が小さいボケをガンガン連射していってノリノリで笑いとってくスタイルだとしたら、今作『破局』は「これおもしろいんやろか」。不安になるまで仕掛けをして、最後にその仕掛けが一気に炸裂。爆笑する中で「いやあ、さっきのん、おもろかったなあ!」とテンションが上がる、そんな感じの漫才だった。漫才ちゃうし、小説やし。でも、読後感は常に自分にとっては漫才だなあ。漫才というか、お笑い。 体をやたら鍛えている男。自分の欲望を自分の欲望として正しく認識している。他方で、自分の気持ちを自分で認識していないときがある。たとえば「悲しむべき理由が見つからない」ということは「悲しんでなんかいない」のだと語り手は演繹する。この他律と自律の絶妙なバランス/アンバランスがおもしろい。個人的には前作のノリのほうが圧倒的に好きだけど、本作も良作だと思う。
恵方巻、チワワ、上がった便座。作家のライトモチーフなのか?もやたら繰り返される。登場人物やエピソードもあれこれ入ってるけど、ただ、なんなんだこれ。まとまりないけど、そんでいいのか? だいたいどのエピソードもおもしろいから、もういいかって思ってるけど。
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このカバー、一時期のビジュアル系のジャケっぽさなんか感じる。