相手を変えるのではなく相手が自分で考えを変えるようにする
1940年代に、 心理学者のクルト・レヴィンと彼の学生たちが発表した一連の研究は、 第2次大戦中の肉不足の対策として、 主婦に家庭料理でシビレ (臓物肉)を取り入れるよう促すこことがテーマだった。 一部の主婦は、シビレを用いることが戦時の協力としてなぜ重要なのかということについての講義を受けた。 他の主婦たちは、今でいうフォーカス・グループのような集団討論に参加し、シビレ活用が重要な理由を自分たちで考え出してもらった。 レヴィンの報告によると、 理由を自分で考えたグループのうち37パーセントはきちんと指示に従ってシビレを取り入れたのに対して、講義を受けたグループではたったの3パーセントしかそうしなかったというのだ。 理由を自分で考えたグループのほうが狙い通りの行動を取る可能性がはるかに高かったのには、たくさんの理由がある (そのうちの一つは、 6章#3で詳しく扱うことになる、 「オルターキャスティング」である)。 理由の一つは、人は 〔伝令の口から〕 伝達されたメッセージは拒絶するが、 自分自身から湧き出てきたと信じている考えは受け入れる傾向にあるということだ。 あなたの友人で、こちらが持ち出す考えはすべてを否定するが、 数日か数週間あけたらそのうちのどれかを 「自分で」 考えついたというような人はいないだろうか? いたら、この現象をあなたも直接体験していることになる。話が通じない相手と話をする方法 ピーター・ボゴシアン ジェームズ・リンゼイ ・ 位置580