無関心層
参政党はユーチューブを含むSNSを宣伝の主要な「間口」とし、支持を広げているのは事実なので、漠然と若い世代から支持が多いのではないかと思われる節もあるが、実際にその支持者のボリュームゾーンは、私と同じアラフォー(40歳周辺)か、それ以上(50代くらい)までのミドル層である。あくまで私の印象だが、とりわけ中年の女性が多いと思う。 驚くべきことに、彼らのほとんどは参政党を支持する以前には、明確な党派性を持っていなかった。つまり、「これまで自民党や立憲民主党を支持してきたが、今回は参政党に入れる予定だ」という人はほぼ絶無であり、いい歳(40代、50代)にもかかわらず、生まれてこの方一度も投票したことがない、という人が相当程度多い。
彼らはその時々に支持政党を変え、固定的な支持政党を持たない所謂「無党派層」ですらない。そもそも、世の中には与党と野党があり、保守よりなのが自民党、その自民党と連立を組むのが公明党、野党にあっては進歩的なのが立憲民主党、社会民主党、れいわ新選組や日本共産党であり、その中間あたりに維新、国民民主党が居る―、などという新聞やニュースなどをある程度読んだり見ていたりすれば誰でも何となくわかっているだろう、政治的マトリックス(座標軸とも言う)が頭の中に一切存在していない。 だから、右翼とは?左翼とは?という漠然とした思想地図にも無知である。時の総理大臣ぐらいは知っているが、全国紙では朝日・毎日と産経がほぼ対置構造であるとか、そもそも衆議院と参議院の違いもあやふやで、日本政治や社会の大まかな構造に対して、驚くほど無知で無関心である。だからこそ、四十数年生きてきて、一度も投票に行かなかったのである。
このような人々は、「無党派層」ではない。しいて言えば「無関心層」である。この無関心層が人生で初めて投票に行くことで、参政党は伸びていった。参政党支持層の研究 / 古谷経衡