書くために読む
私は本を読むのがそんなに速いほうではない。それでも、一年に七十冊から八十冊は読む。 そのほとんどは小説だ。読みたいから読むのであって、 何かを学ぶためではない。たいていは夜、書斎の青い椅子にゆったりと腰かけて読む。繰りかえしになるが、 読みたいから読んでいるのであって、小説の技法やアイデアを学ぶためではない。それでも、 読めば何かしら得られるものはある。手に取った本にはかならず何かを教えられる。概して優れた作品より、 出来の悪い作品からのほうが教わるものは多い。書くことについて ~ON WRITING~ スティーヴン・キング p.154