敵
実際つねに事後に気づくのだが、われわれは、敵陣営の人たちが敵の
党派
に属しているのは、その党派のなかの正当なものに起因するわけではないと考えるものだし、われわれと同じ意見の人たちの考えについては、その道徳的本性があまりにも低俗すぎて引き合いに出せないときはその知性を、その洞察力があまりにも脆弱なときはそのまっすぐな心を、その考えの要因とみなしているのである。
失われた時を求めて
8巻 p.257