感情の筋肉
翔 TCでそういう話をしていったら、疑問が出てきた。 本当に楽しかったのか。強がってたんじゃないか。さみしかったのかも。 そんなふうに口に出してったら、 自分にフィットする感情が見つかってきたんですよ。いろいろ思い出して、感じられるようになっていく過程。 エモーショナル・リテラシーってそういうことかな。 アミティでは「感情の筋肉」とも呼んでる。 感情って、最初はわからない。 肉体の筋肉も、 筋トレとかしないとつかない。腹筋や腕立て伏せをやると筋肉がついていって、 「筋肉は大事だ」 って気がつく。 だから、 自分の感情について考えるとか、 少しずつ鍛えていくっていう意味で、「感情の筋肉」っていう表現はぴったりくるって思う。根っからの悪人っているの?: 被害と加害のあいだ シリーズ「あいだで考える」 坂上香 ・78ページ かおり 感情を感じられないことや、 何かを感じないために無理やり他の感情に置き換えたりすることを、 アミティでは「感盲」って名づけていて、 島根あさひの TCでもこの言葉を使ってるよね。 「感盲」 について、 何か思い出すことあります? / 翔 彼女と同棲してた時、 彼女に 「じゃあ遊びに行ってくるね」 とかって言われると、「なんでいま行くのかな。 俺、 家にいるんだけど」ってイラついて、 「じゃあ俺も遊びに行ってやる」って、出て行ったりしてたんですよ。 それも当時の自分にとっては「普通」 だった。 でも、 TCでさっきの話をした時に気づいたんだけど、 「俺、誰かに出ていかれるの嫌なんだ」って。 それを避けたくて、 彼女に 「遊びに行く」って言われると、そこにネガティブな感情が生まれる。 いらいらとか、むかつくとか、 「なんで、 俺が今日休みなのに遊びに行くのかな」 とか、 自分勝手な感情。 それが普通だった。 根っからの悪人っているの?: 被害と加害のあいだ シリーズ「あいだで考える」 坂上香 ・ 79ページ