大喜利
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まず大喜利には独特の特徴がある。一つはある種の競技性があること。誰が一番かを争う勝負になっている。またその競技のルールはたいていの場合、一番おもしろい回答をした人が勝者なのではなく、おもしろい回答の数が多かった人が勝者というルールである。おもろさ100、打率10よりも、おもろさ70、打率80のほうが評価される世界なのだ。
大喜利は競技性がある。他方でこれがおもしろいのだが、同時に全員で場の空気をつくる協力関係にある。まず、誰かの回答に被せて他の人が回答することができる(前の回答をネタとして踏まえた回答ができる)。また、単純に誰かがおもしろい回答をすると、場の空気がどんどん重たくなくなってくる。オーディエンスをみんなで楽しませないと、その場自体が成り立たない、誰も楽しくない、楽しめないので、おもしろいことを競争相手が書いてくれることはすごく助かる。となると、こちらとしても相手にいいパスをあげたくなるし、笑ってあげようという意識が働く。
もう少し掘り下げていくと「乗っかる」以外にも、「あ、そんな発想があったのか!」というお互いに発想をシェアする、ヒントを与え合うという関係もある。大喜利は実は一人で考えていない。場全体で考えるフォーマットなのである。
おもしろくない回答も一定程度許容される、スベリも全然オッケー!。だから、大喜利には司会者がいる。司会者がフォローしてくれて、おもしろくなかった場合はおもしろくない回答が出てきたこともおもしろさとしてフォローしてくれる。
回答のフォーマットも独特である。基本はフリップに絵や文字を書き、それを読み上げながら出すのだが、回答を出すタイミングやフリップに書くことと口頭でだけ説明することの選択で、回答はおもしろくもつまらなくもなる。
以上のことから考えると手数をどんどん出していくことで場の空気を動かしていくのがセオリーになる。おもしろい回答ができるまで考え込むのではなく、おもしろい回答がどんどん出てくるようになるまで回答を重ねるのが大喜利だ。
こうしたルールやフォーマットを理解した上で、ロジックを組み合わせていけば、苦手な人でもおもしろい回答をつくることができる。一見競技性が高いしアドリブだし素人には無理なようだが、「そこそこのおもしろさを数出せばいい」「スベってもオッケー、フォローが期待できる」ことを考えれば、むしろお笑い素人にもとっつきやすいのが大喜利だと言える。
大喜利解題