ハームリダクション
そういった中で近年では、ハームリダクション 4 という考え方が世界中で注目され、政策に取り入れられ始めています。 ハーム (害)をリダクション (減少) させるという言葉の通り、薬物使用で起きるさまざまな健康被害や社会へのダメージを減らすことを主眼に置いた薬物対策です。つまり、規制と処罰による厳罰主義から脱却し、支援や治療によるケアで薬物依存者を減らそうとする取り組みです。 例えばポルトガルでは、二〇〇一年にすべての薬物について、 〈叱る依存〉がやめられない 村中直人95ページ について、個人の少量所持・使用を非犯罪化しました。合法化ではなく、 非犯罪化です。 それは危険薬物を所持していた場合に、 逮捕するのではなく治療やケアにつなげようとする試みです。 他にも、オーストラリアでは同じ二〇〇一年に 「薬物注射保健センター」 がオープンしています。 ここでは清潔な注射器と専門スタッフが用意され、安全に薬物を注射、吸入することができる施設となっています。 同様のセンターはすでに世界で一○○ヵ所以上開設されており、今後も増えていく見込みです。〈叱る依存〉がやめられない 村中直人96ページ