トリガー
大半のヘロイン常習者がクリーンでいられないのも、これが理由だ。犯罪に手を染めた現場に戻ってしまうと、檻に戻されたサルのように、彼らは薬物を再開せずにいられない。何しろ依存症だった時期を思い出させる友人にも会うし、前と同じ家に住んでいるし、同じ地域を歩くのだ。クリーンになったからといって何も変わらない——唯一違うのは、薬物に身をゆだねるのではなく、それに毎日抵抗しなければならないこと。そうなると誘惑の力は抗いがたいほど大きくなる。見るもの、嗅ぐもの、聞こえるものすべてがヘロインを打ったときのうっとりするような喜びを思い出させるのだから、屈さずにいるのは不可能に近い。
アダム・オルター. 僕らはそれに抵抗できない (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1140-1146). Kindle 版.