ゴーストバスターズ2
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前回よりは性差別描写がマシになっている、というか、登場人物として女性が特に出てこない。ディナ(シガニー・ウィーバー)と受付嬢ジャニーン(アニー・ポッツ)のみなので……。ただ、これもひどくて、ディナはピーターと分かれて別の男と結婚、一児を出産し母親になってるし、ジャニーンは途中ベビーシッターしてる途中で「母性本能ってあるのね」などと言ってて、女=母親目線が時代とはいえかなり強い。それにジャニーンについては確か前作ではイゴン(ハロルド・ライミス)とできてたはずなのに、今回何の説明もまったくなく、前作に登場した「チビ」、ルイス(リック・モラニス)と仲良くなりセックスすることに。「男のどれかと適当にくっつき、いずれは母親に。それだけ」という描写なので、別に2の性別描写もダッメダメ。 本作については性別以外の表現もとても気になる。まず今回の敵はウクライナのビーゴ。前回の敵は異教徒だったけど、今回の敵は信仰的にも異なるし何よりウクライナ=当時のソ連で、この映画は1989年だから思いっきり反共なアレ。しかもこれを最後は、感情に反応するスライムを塗ったくりまくった自由の女神を動かし、突撃させて、ニューヨーク市民の元気玉で倒すって流れなので、そのメッセージはあからさま。そしてウクライナの魔王を倒すために、自由の女神に結集したニューヨーカーってシーンのときだけアジア系やムスリムがモブでチラッと画面に映るのよ。見ててイラッとする。
同性愛への揶揄もひどい。ビーゴに魂を乗っ取られたヤノシュ・ポーハ博士の喋り方がいわゆる「オ○マ喋り」らしく、字幕でも吹替えでもそのように扱われている上に「ゲイか?」などと悪口のように言われる(ちなみにヤノシュはディナと結婚したがっているのでこの描写からだけではバイセクシャルかヘテロセクシャルであることが推測される)。またラストでは善意の塊のスライムを浴びたレイと「君のこと愛してるよ」と抱き合うシーンがある。これもなあ。そこまで肯定的に同性愛について言及してたのなら「当時のコードの中でポジティブなメッセージを込めた」と評価できるかもしれないが、とてもそうには思えない流れだ。
このヤノシュに対しては悪意の塊で、わざわざピーター(ビル・マーレー)が「ご出身は?」って聞くんだよね。答えは「アッパーウエストサイド」(マンハッタンのハイソが住む地区らしい)なんだけど、明らかにRの発音が巻き舌で、「ヤーンシュ」「ポーハ」という名前(調べたけどわかんなかった。ポルトガル系?ハンガリー?)の人にそんな質問するとか差別的だし、マイクロアグレッション丸出し。 そして自分は「ゴーストバスターズの法則」と呼んでいるのだが、ゴーストバスターズと敵対する人の身長は低いっていう。前作ではディナに言いより悪魔に身をのっとられるルイスが、そして今作ではヤノシュが、またニューヨーク市長が頭一個分ゴーストバスターズやディナよりも身長低いんだよね。最初、シガニーウィーバー身長高いから仕方ないのかと思ったけど、ビルマーレーやダン・エイクロイドは身長高くそこで合わせているので、明らかにこれ意図的でしょう。チビなら笑っていい。そういうイズムが滲み出してる。性差別も問題ないとは言わないが、こっちもかなり根強いと言わざるをえない。 リプリゼンテーションについて気になったことは大体そんなとこなんだけど、それはさておき、ゴーストバスターズとしては一段階つまらなくなったという感想。というのも、主人公ピーターがほとんどゴースト退治してないのよ。ずっと別れた元カノ、ディナとよりを戻すことばっかり考えている。これがねえ……。つまんないんだ。
ピーターの何事にも悩まない、執着しない、すべてがどーでもいいわって感じがよくて、それが背中にダサいデカい放射線装置しょってゴーストを退治しにいくというバカバカしさとマッチして「クール」だったのに、ここではディナへの恋に執心なためゴースト退治もあとまわしする男に。前作でピーターはディナに言い寄ってたけど、正直「女とかマジどうでもいいです」「こいつはヘテロセクシャルですよ」の説明にしかなってなかった。それが今回はディナが好きディナ愛してるでしょ。
「女なんかどーでもいい」は確かに性差別的なんだけど、他方でハリウッドのお約束だからやってるけど、別に恋愛とかそんな大したもんじゃないぞ?にも見えて、それがたぶん多くのパッとしない人たちにカッコよくうつったんだと思う。特撮や動く自由の女神など、前作パワーアップしてるところは確実にあり、映画として悪いわけじゃないんだけど、それでも「ゴーストバスターズとして」魅力が減ったと思わされるのはそういうとこかなと。
moriteppei.icon ゴーストバスターしてよ!!!