さよなら絵梨
https://m.media-amazon.com/images/I/61vBVTlMMfL._AC_UL640_QL65_.jpg
虚実ないまぜ、どこから本当か嘘かわからない状態に持っていくというか、「虚構内の現実を虚構化する」のがうまいというか。まさに藤本タツキ節なんだけど、本作ではそれも食傷。「繰り返し」が多いからだと思う。そもそもがコマ自体、スマホのファインダーからのぞいたという設定で基本統一しているため、どうしても単調になりやすい。絵もいつもより「かわいくない」。辛口のタッチにしていたと思う。 それと映画が好きな藤本の、自分が苦手な成分がすごく多かったのもマイナスポイントかも。映画って話の筋、脚本のために簡単に人殺すじゃん。人が「道具」なんだよね。あれ、すっごい苦手。倫理的にではなく、作為を感じるので醒めるって意味で。今回はそればっかで構成されててそれも食傷。
あと、映画って長いんだよ。長いというのは時間的な意味でではなく、展開的に長い。1800円払わせ2時間使わないといけないフォーマット上の制約から「いいシーンをできるだけたくさん」になる。そのため、別に必要もないのに、揚げ物てんこもり、エンディング終わったと思ったらエピローグ、エピローグのポストスクリプト.....みたいな感じで後ろに後ろに引っ張る。
本作もまさにそれで。「そこらへんで止めとけよ」なのにたっぷりあれもこれも入れるため、テーマが定まらない作品に。オチも弱い。