SNSでは議論するな
効果的な会話を多種多様なソーシャルメディアで行うにあたっては、確固たるエビデンスがない以上、次のことをまず強く勧めたい。 すなわち、オンラインで緊迫した問題について議論するのは、本当に必要な場合にだけにすること(そもそもが本当に必要になる場合とはどういう状況なのかは想像し難いが)、そして〔オンラインで〕生産的に議論する方法についての確固たるエビデンスが見つかってからにする、 ということだ。ソーシャルメディアでの会話から得られるものは、皆無ではない(ストレスを発散して気分がよくなったりはするだろう)し、確かにいくつかの利点はあるだろう (リアルタイムで相手に反応しなくてもよい等)。 ただ、 それらを除けば、ソーシャルメディアはもともとただでさえ難しい議論というものを、さらに「ハードモード」にしてしまうものだ。 分断を煽るような会話や挑発的な内容をソーシャルメディア上でシェアすることについて、一つだけはっきりしていることがある。 それは、 〔人間〕 関係を破壊し、 〔すでにひどい状態にある〕 ソーシャルメディアの害悪をさらに強めてしまうということにほかならない。話が通じない相手と話をする方法 ピーター・ボゴシアン ジェームズ・リンゼイ ・ 位置1336 原則として、ツイッターで議論はしてはならない。 (もしどうしても議論に参加しなければならないと感じた場合でも、やりとりは2往復で止めておこう。 このメディアは、繊細な議論をすることには向いていないのだ。 必要に応じて、この 〔やりとりは2回までにしているというあなたの〕 原則を説明したり、 メールその他の私信で議論を続けることを相手に提案するために、 3つ目の返事を加えてもよい。) ツイッター〔で発言すること〕は、ステージ上で大観衆に向けて一気に演説をぶつようなものだと考えればよい。 劇場の最後部座席から野次を飛ばしてくるような客とは、 議論をしようなどと、普通は思わないだろう。話が通じない相手と話をする方法 ピーター・ボゴシアン ジェームズ・リンゼイ・位置1375 第二の点は、ソーシャルメディア上の会話の多くは、 デジタルな公共空間で行われるということだ。そういう場には障壁や複雑な事柄が高く積み上がっているものだ。 うまくいっていると思った会話でも、挑発的だったり喧嘩腰の第三者が一人でも加わってしまうと、とたんに台無しになってしまう。 そんな人物が20人ほど、 東になってやってくることだってある。 もっと重要なこととして、 公開の場での会話に臨むときには、 人は自分のプライドを賭けているということだ。その結果として、 公開の場での議論では、プライベートのときと比べて、 人はもともとの立場に、 より固執する傾向がみられる原注33。 少し想像してみてほしいのだが、 あなたがいいところを見せたいと思っている観衆の前に立っているとき、プライベートで一対一で議論しているときと比較して、どれくらい猛烈に自分の立場を守ろうとするだろうか。 途中で考えを変えたり議論に 「負ける」ことは屈辱的だと捉えられるため、 ソーシャルメディア上の議論が多くの場合、 悪い方向に捻れてしまうのも、まったく驚くことではないことが分かるだろう原注34。話が通じない相手と話をする方法 ピーター・ボゴシアン ジェームズ・リンゼイ・位置1401