Rave Un2 The Joy Fantastic
本日のプリンスはRave Un2 The Joy Fantastic。
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もち.icon出たな、『Rave Un2 the Joy Fantastic』(1999)。プリンスがアーティスト名義「記号時代」(The Artist Formerly Known As Prince)を経て、Aristaとタッグ組んで「商業的にカムバック!」みたいなテンションで出した作品。でもふた開けてみたら、いろんな意味で「ズレまくったタイムカプセル」って感じの珍作。未完成な傑作未満ってやつ。ゲスト陣は豪華で、チャカ・カーン、イヴ、シェリル・クロウ、チャックD(Public Enemy)が参加してる。サウンド面、めちゃくちゃポップで当時のR&Bトレンドに乗ろうとしてる(“Hot Wit U”とか“Undisputed”とか、明らかに90年代末のネオソウル〜ヒップホップ寄りに意識的)んだけど、他方でその中に“Man ‘O’ War”みたいなバリバリの古式ゆかしきバラードが挟まってくる。「市場に合わせたプリンス」と「いつものプリンス」が全編でゴチャゴチャに同居してて、そこがこの作品の最大の美点であり、最大の迷いって感じかな。
moriteppei.iconえーー。そういう評価なの?ぼくは当時全然違うふうに捉えてた。自分も愛聴盤というよりは『Musicology』などと同系統の「殿下が市場に寄り添ってみました」的な作品だと思うけれど、当時の評論家筋の評価は割と高かったよね。なんせあのプリンスの復活作でもあるというか、「死んだ」と言われてたプリンスがプロデューサーとしてクレジットされてたよね確か。死人がプロデュースすんなやと(笑)。なので「ジ・アーティストをプリンスがプロデュースした作品」というプリンスディスコグラフィーの中でもかなり珍しい作品だったはず(他にもあったっけ?)
もち.iconこれはほぼ唯一無二と言っていい。 少なくとも公式リリースで「明確に別人格としてのクレジットが分けられてる作品」は『Rave Un2』だけかな。もちがさっき評価がいまいちのように言ったのは、長期的なファンや評論筋の“再評価”というより、当時の熱狂が少し冷めたあとに生まれた違和感も込みで見てるから。当時は確かにそこそこ評価されてた。特に“Baby Knows”(with シェリル・クロウ)や“Hot Wit U”(with イヴ)みたいなコラボ路線に対しては、「今の時代にちゃんとアップデートしにきたプリンスがここにいる!」みたいな受け止めが強かった。でも、時が経って聴き返すと、「あれ、らしくないな」って引っかかる瞬間がちらほらあるのも事実なんだよね。
moriteppei.iconAristaから出した唯一のアルバムなんだっけ。
もち.iconそうだね。その変奏・再構成盤である『Rave In2 the Joy Fantastic』(2001年)もNPG Music Club限定配布という形式で、Aristaからは出てない。当時のAristaの会長はあのクライヴ・デイヴィス。ホイットニー・ヒューストンやアリシア・キーズ、サンタナなんかを手がけてた業界の伝説的ヒット請負人だ。 プリンスがこの時期、再びメジャーに接近したのは彼の存在が大きいって言われてる。この一発勝負で「メジャーとまたやるのか?」という空気を一瞬漂わせたけど、そのあとすぐに『The Rainbow Children』(2001)で完全自走モードに戻っちゃうね。
moriteppei.iconEmancipationはEMIからか
もち.icon『Emancipation』(1996)はNPG Records(プリンス自身のレーベル)からのリリース。ただし、流通はEMIが担当してたね。まとめるとこんな感じ:
プリンス90年代後半〜初頭のレーベル遷移(メジャー系中心)
Warner Bros.(〜1996)
- The Gold Experience(1995)
- Chaos and Disorder(1996)
→ 契約消化&決別。レーベルに名前も曲も握られてブチギレ。
NPG Records + EMI(1996〜1997)
- Emancipation(1996)
- New Power Soul(1998) ← 形式上はNPG名義だけど実質プリンス
→ 自主レーベル立ち上げつつ、流通はEMIに任せてた時期。
Arista(1999)
- Rave Un2 the Joy Fantastic(1999)
→ 唯一のArista作品。クライヴ・デイヴィスとのタッグ。
そしてそのあと、完全自前路線に戻って:
NPG Music Club(2000年代前半)
→ The Rainbow Children(2001)以降は基本ネット配信&NPG限定盤中心。
→ ついに「CD屋に並ばなくてもプリンスを聴ける時代」へ。
moriteppei.iconアリスタとはケンカ別れとかはしてないよね。
もち.iconうん、そこがまた興味深いところで──むしろあの短期間の関係性としてはめちゃくちゃ大人で円満な“ビジネス的ワンナイト”だった印象すらある。なんでそう言えるかというと 『Rave Un2 the Joy Fantastic』が出たあと、 プリンスは“Rave Un2 the Year 2000”っていうTVスペシャル(ライブ映像)をArista後援で制作・放送してる(1999年末〜2000年初頭)。チャカ・カーン、ラリー・グラハム、モリス・デイなどの豪華ゲストも集めて、明らかにレーベルとも協力体制。 クライヴ・デイヴィス(Arista会長)も、後年の回顧録でプリンスに対して特に悪感情を語ってない。むしろ、「あれはアーティストが自分を再起動するための一歩だった」的なコメントを残してる。プリンス側も、Arista離脱後にそのことをディスるような発言・歌詞を一切残していないしね。プリンスのキャリアの中でもかなり稀有な「毒のないビジネス関係」だったかもしれない。
moriteppei.iconそのせいかなんか作風的にも落ち着いてるんだよね。自分や他人を傷つけるような過剰な表現も抑えられているし、聞けば聞くほどよくできたポップアルバムだし。ただ、音の難しさというか変態性は減ってるからそこをどう捉えるかだよね。プリンスがプロデューサーとして復活!と言われても、往年のレボリューションが好きな人からすると「こんなまったりした作品作んなよ」ってことなのかもしれない。あととにかくゲストが多い、カバーもやってるってあたりが特徴かな。カバーって実はプリンス、途中までずっと「禁じ手」にしてたんだよね。それがEmancipatinでスタイリスティックスとかカバーして解禁に。そしてここではなんとシェリル・クロウのカバーよ?しかもシェリルとはデュエットまで披露してて。本作、一番に推すかと言えばまあ全然。特に記念碑的なこともないし、そういう意味ではプリンス作品の中では「凡」なのだけど、その凡を楽しむべきかなと。天才の「凡」は全然平凡じゃない(笑)。
もち.iconもちの推しは“Strange But True”かな。この曲だけ、マジでアルバムの中で異次元の浮き方してる。変拍子×変態ベース×シアトリカルな展開っていう、まさに変態王子再臨モード。しかも歌詞が完全にポストモダンなポエトリーで、「知性と狂気のせめぎ合い」って感じ。他の曲と空気感違いすぎて、この一曲のためにアルバム聴く価値あるくらい。ぜひ聞いてみてね!
本日のプリンス
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