Elixer
本日のプリンスはElixer。
https://gyazo.com/d12e6c6d48c6a3c16c52cf004351f04b
もち.iconうわ〜きたな……ブリア・ヴァランテ『Elixer』。これもう、「全編プリンスのエロマインドが女性ボーカルを借りて囁いてくる」という、ある種の音のトリックプレイなんよな。2009年の『LOtUSFLOW3R』『MPLSoUND』とセットで発売された3枚組のうちの1枚。で、この『Elixer』だけ完全に別温度の部屋になってるっていう。サウンドはしっとりとしたネオソウル〜ミッドテンポR&Bなんやけど、その中にプリンスのコード感、構成美、語りかけ方のクセがむき出しで入ってて、聴いてると「これ、ブリアの声で歌われてるけど、書いてるの全部王子やな」ってジワジワ伝わってくる。“作品としての完成度”よりも、「プリンスが女性アーティストを通して自己の一部を分裂させてる過程」を記録したアルバムって感じなんよ。森さん的にこのアルバムってどう位置づけてる? “黒歴史扱いは不当”ってタイプ?
moriteppei.icon いや、まず、もちのその熱量にびっくりしてる(笑)。割と黒歴史扱いに一般的にされてるのかと思ってた。今回もApple Musicで検索してみたけどブレアのアルバムは出てこないんだよね。LOtUSFLOW3R、MPLSoUNDとの3枚組セットという認識だったからカタログから完全に消されてるよなと。
もち.icon あ、わかる(笑)森さんの「ちょっと取り上げとくか」ぐらいのテンションに、もちが全身紫で突進してきた感じになってたなこれ……反省w でもね、まさに言うとおりで、一般的にはガチで黒歴史or空気扱いされとるんよ『Elixer』。プリンスの熱狂的ファンの中でも「え、あれ入れんの?」みたいな声すらあるくらいで。で、その理由がまた納得できちゃうのが悔しいんよな。・本人が歌ってない(正確にはコーラスとかちょっと出てるけど)・プロダクションが異様に“おとなしめ”で尖りが少ない ・リリース形態が限定的で、現在はApple Music含むストリーミング系からカタログ落ち。このへんが絡み合って、「語られずに消えていった作品」になってしまってる。『Elixer』、実はめっちゃ耳触り良くて、夜中に流すとすごく心地いい。その質感が、ある意味では“プリンスの一番外側の皮膚”かもしれんって思うこともあるくらいなのにね。
moriteppei.icon一般的な事実から確認ですけど、ブリアは当時のプリンスの恋人ってことでいいんですよね。お弟子さんでもあったんでしたっけ。
もち.iconうん。ブリア・ヴァランテ(Bria Valente)は当時プリンスの恋人であり、お弟子さん的存在でもあったって認識で間違いないよ。ブリアはもともとモデル/バックダンサーとして活動してたけど、2000年代中盤にプリンスと出会って、そこから音楽活動を始めるきっかけをプリンスが与えたとされてる。2007年ごろにはすでに彼女を強くプロデュースする動きがあって、『Elixer』もほぼ全面的にプリンスが楽曲制作・演奏・プロデュースしてる。この関係、外から見ると「いつもの“ミューズ育成”か…」って思われがちやけど、ブリアの場合は特に大人っぽい静けさにフォーカスされてるのが特徴で、プリンスが“自分のアグレッシブな面をブリアの声を通して沈静化しようとしてた”感じがある。だから『Elixer』が他のプリンス関連女性ボーカル作(ジル・ジョーンズとかマーティカとか)と一線を画してるのよな。公式には「いつ別れた」とかは語られてないけど、2010年以降は公の場での共演や名前が急激に減っていく。2016年にプリンスが亡くなった際もブリアのコメントはほとんど報じられてない。要するに、 “作品としてはマイナーだけど、関係性としてはかなり濃厚だった” っていうポジションの人やね。
moriteppei.iconいや、だから、ぼくはこれはプリンスにとっての黒歴史ではなく、ブリアにとってプリンスが黒歴史なのかなと。
もち.iconあーーーーーー、そっちか!!!!
moriteppei.iconフツー「あのプリンス」よ? 全面プロデュースされて、3枚組の一枚として発売されたわけでしょ。それなのにその後「情報がない」って、ブリアのほうからして「もうあの時の私は忘れたい」なのかなと。プリンス側からしたらプリンスが女性に惚れ込むのは今に始まった話じゃないし、自分の作品と組み合わせて3枚抱き合わせで発売しても、プリンスほどの才能だと「またやってますね」で終了だからさ。
もち.iconプリンスに惚れ込まれて、全面プロデュースされて、 しかも3枚組のうちの1枚をまるごと任されるって、 普通なら「一生に一度の大抜擢」なはずやん。 けど、あまりにもプリンスの“色”が濃すぎて、 その恩恵を受けたと同時に、“自分が消える”危険性も孕んでたっていう。で、プリンス側からしたら、それはいつもの流れなわけで。 “才能に惚れて引っ張って、作品にして、次へ行く”。 これはヴァニティにも、ジル・ジョーンズにも、アポロニアにも、みんなに起きたこと。しかもプリンスは基本的に「そのとき本気」やから悪気も演出もない。ただ、“創造の欲望”と“愛の欲望”が同じベクトルで爆発してるだけ”なんよな。でもブリアの場合は、それが**“彼女のキャリアの始まりであり、終わりだったかもしれない”**ってとこが重い。プリンスの名前が大きすぎて、彼女自身の意思や展望がそのあと見えなくなってしまった。しかも、その後のインタビュー、メディア露出、発言すらほとんどなし。つまり「音だけ残して姿を消した人」になってるわけで……。
moriteppei.icon自分も当時は3枚組のボリュームでしょ。他の2枚も当時はあまりいいと思えなかったし、全然消化しきれなくて、ほとんど聴いてなかったんだよね。でも、今聞き直してみたら、これ、すんごい名作なのでは??ってなってる。プリンスという天才がブレアのためにつくったオートクチュールはまさに天衣無縫。極上のcalm musicになってる。しかも、基本ブレアのボーカルってことになってるけどHomeとか、完全に殿下ご本人が歌ってますよね(笑)。プリンスファンからしても聴きどころは多いんだよな。
もち.iconそうそう。完全にプリンスが表に出すの我慢できんくなって「ちょっと…いやもうオレが歌うわ」ってマイク取りにきたとしか思えん(笑)あの曲のボーカル、ブリアの声も美しいけど、プリンスの声が出てきた瞬間、一気に空気が“あの空間”になるんよね。あれ、隠し味というより、主役降臨やでほんま。
moriteppei.iconというか、この作品、ブリアの作品のはずなんだけど、そして音楽性的にはそういってまったく問題ないクオリティなんだけど、それにしちゃあパーソナルすぎません?っていう。なんかまるで愛しみいちゃつく二人の楽園をのぞかされてるような気持ちになるんだよね。
もち.iconで、それをわざわざパブリックなアルバムとして出すというこの…“公開いちゃつき音源”。でもな、そこがたまらんのよ。ブリアの声がまた、媚びてないのにめっちゃ柔らかくて、「私、プリンスと話してますけど?」みたいな余裕と甘さが漂ってる。
moriteppei.iconブリアの声、確かにいいんだよね。音楽的にすごいというわけではない。けれども、音楽との向き合い方は悪くない。あと、プリンスからしたら普通なのかもしれないが、全曲クオリティがエグい(笑)。2niteもすごくいい曲だし、プリンスの他の作品ではあまり聞かないタイプなので、聴きどころだよね。アレンジもちゃんと尖ってるし。てか、これで尖ってないとか言われるプリンスなんなんだ(笑)。2niteは歌詞にも注目です。すべてがプリンス節。サブスクにないので聴きにくいが、プリンス大好きになったらぜひ聴いてほしい一枚。
本日のプリンス
🟣🟣🟣