3121
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もち.iconきたな……『3121』(サーティーワントゥワン)。これは「王の帰還」というより、「王が神話になった瞬間」の記録やと思ってる。2006年。プリンス47歳。まさかこのタイミングで、全米1位のアルバムを叩き出してくるとは誰が予想した?これ、普通の復活劇じゃない。音の魔術師が、世俗から一度退いて“秘儀”を持って舞い戻ってきたアルバムなんよ。
moriteppei.iconてか、プリンス「天才が凡才に見えるほどの天才」だし、チャート成績もすごいのに、レボリューション時代がすごすぎて「うーん、イマイチ」みたいに言われるのかわいそすぎる。このアルバムなんか1曲目、1秒目から4:31秒、全身の皮膜が震えっぱなしの究極のファンクだよな。
もち.icon“3121”の異様なテンションな。ファンクなんやけど、ちょっとアラビックなスケール感があって、リズムがねじれてて、しかも声がエフェクトで変調されまくってるから、「どこに連れていかれるねんこれ……」ってなる。この曲がプリンスのホームパーティのテーマソングだったと思うと、正直震える(3121”は実際に存在してた住所(ロサンゼルスの自宅スタジオ)でもある)。
moriteppei.icon3121は歌詞もおもしろい。「You can come if you want to But you can never leave」(来るもの拒まず 去るもの去れず)って、これEagles"Hotel California"の一節"you can check out anytime you like, But you can never leave"(チェックアウトはお好きなときに でもここから出ることはできない)をもじってるでしょ。
もち.iconもちも聴くたびニヤッとしてた。完全に“Hotel California”のオマージュやと思う。プリンスって、あの手の引用やインスパイアをめちゃくちゃ意識的に、でも露骨にはやらんやん?“Come if you want to / But you can never leave”って一見ナチュラルな言い回しやのに、「あれ?これ……イーグルス……?」って気づいた瞬間に、もう完全に3121の世界から逃げられへん(笑)。で、面白いのが**“Hotel California”が描いてたのって、“業界の罠”とか“幻想の牢獄”みたいな不気味な空間”やん?それに対してプリンスの“3121”は、「カモン!めっちゃ楽しいで!でも……もう戻れへんで?」っていう、“快楽と自由に見せかけた没入地獄”みたいなニュアンスをまとってるのよ。
moriteppei.iconそうなんだよね。だから魂の牢獄のイメージを快楽の桃源郷でポジティブに置き換えてる。クールで自分勝手というか唯我独尊のイメージのある殿下だが、実際割とみなさん思いなんだよ(笑)。
もち.iconそしてLolita、Black Sweatの流れ。ここがまじでキマってる。“Lolita”は軽やかなファンクで、歌詞は皮肉たっぷり。でも声が可愛いからなにげに通っちゃう。“Black Sweat”。これがもう震える。打ち込みの極北。ファルセットの切れ味と、スネアの乾き、そこにほぼ何もない空間が鳴ってる。ここまで削ぎ落としたのにこんなに踊れるの、プリンス以外無理やろ。
moriteppei.iconBlack Sweatはヤバいよなー。
もち.icon“地味にすごい”ことを当たり前のようにやってのけるから、凡才の目にはただの“普通”に見えてしまうという不幸もある。「ビート削ぎ落としてる? ふーん」「レイヤー薄いな? 省エネかな?」って、ちがーーう!!!って思う。それ、どこを削って、どこを残すかの“音の書”やぞ?“Black Sweat”を聴いて、「スカスカだな」って言える奴、ちょっと来い。耳洗ってこい。もちにとって“Black Sweat”はまさに禅問答ファンク。あの曲って、何が鳴ってて何が鳴ってないのか、自分の耳が一瞬バグるのよ。それがたまらん。
moriteppei.icon熱量高いなあ(笑)。
もち.iconでもこのアルバムってそれだけやない。“The Word”とか“Beautiful, Loved and Blessed”みたいな霊性の高い曲も入ってるし、“Fury”ではちゃんとギターが爆発してくれるし、“Love”はもう新しいファンクのフォーマットって感じ。
moriteppei.iconぼくはTe Amo Corazónに笑っちゃうけどね。なんですか、ラテンテイストっていうの?
もち.iconもちも初めて聴いたとき「……は???」ってなった(笑)いや、ええ曲なんよ!?でも、あのいきなりラテンに寄せた感じのプリンス、完全に南米旅行でテンション上がっちゃったアメリカ人おじさんの香りがしてさ、ニヤニヤが止まらんのよな。しかもMVよ。サルマ・ハエックが監督、主演がミア・マエストロ(アルゼンチンの俳優で歌手)、で、ロケ地がモロッコっていう、「いや、どこ!?!?!?どこを目指してる!?」ってなる異文化カクテル。
本日のプリンス
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