タミヤゴシック・高島屋制定書体
https://gyazo.com/3c528b18384f9bec3b87acfe1368b89b
タミヤのプラモデルのパッケージでみられる書体と、高島屋でかつて使われていたという「制定書体」がどうも似ている。似ているというより同じっぽい。なんで……? 謎……。 このページでは、2 つの企業で使われていた独特なカナ書体について、調べたこと・知っていることを随時記載していきます。
※「タミヤゴシック」「高島屋制定書体」は、私が便宜的につけた名前です。 あらすじ
同僚らがなぜかプラモづくりにハマっている時期があった。模型は全然通ってこなかったのではじめは遠巻きに見ているだけだったが、そういえばむかしミニ四駆で遊んでいたことはあったな、ということを思い出し、せっかくなのでミニ四駆を買ってみることにした。ミニ四駆と言えばねずみ色のコースを走らせて遊ぶものというイメージが強かったのだが、車輪のでかいシリーズもあるということを知って ランチボックスJr. というのを入手した。なんとなく。 買ってきたパッケージを見て、そういえばタミヤの製品で使われているカタカナは独特な雰囲気だったなということも思い出した。フォントとして市販されているものではなさそうな、タミヤ独自?と思われる書体。そういえば、かつて手にしていたミニ四駆本体やパーツのパッケージでも、この書体に見覚えがある気がする。 https://gyazo.com/46f439af0efeeee9e36ae5459bc82585 https://www.instagram.com/p/lC7lCvhvAx/
↑「ランチボックス」「ワイルドミニ」「シリーズ」の部分がタミヤゴシック
同時に、以前 『レタリングデザイン』 という本で見た高島屋の「制定書体」のことを思い出した。あれに似ている気がする。図書館でとったコピーが手元に残っていたので見比べた。 https://gyazo.com/238206b3940f5a23cb3daf1bc4def0ce https://www.instagram.com/p/lC8RzxBvB2/
「チ」「ク」「ト」など形状に特徴のある文字は確かによく似ている。というか、これは同じものでは……? 『レタリングデザイン』には、高島屋制定書体の書体見本が 1 ページをまるっと使って掲載されていて、簡単な説明も添えられている。それによれば、もともとは高島屋宣伝部に所属していたデザイナーがつくったもので、その後は京王百貨店でも使われていたらしい。 高島屋発祥なのは確かみたいだが、それがどのようにしてタミヤに伝来していったのかはわからない。インターネットで「タミヤ + 高島屋」みたいな感じで調べてみても求めている情報は出てこない。でも経緯が気になってしまう……。
デザイナーの田宮督夫さんが高島屋の宣伝部門・京王百貨店の宣伝部・タミヤのデザイン室に所属してきたことが大きく関係しているみたいだ、というところまでわかった。 使用事例
雑誌広告: 1962年「クリスマス・セール」(東京店のポスター)
https://gyazo.com/61c8b957b8f7aa0696850eaa756e71a8
雑誌広告: 1965年「クリスマス ローズ・パレード」
https://gyazo.com/e33d2f0cde78ffbff8b142fd2aa5215a
ポスター: 1971年「クリスマス・ローズ・パレード」
店内サイン
実際の利用事例は未確認
当時の店内の様子は高島屋の社史などで見たが、見当たらず。他の書体が使われているように見える。
製品パッケージ・カタログ
使用事例多数
1966年8月にタミヤのロゴが刷新された頃にパッケージデザインのスタイルが一新され、それと同時にタミヤゴシックが使用されるようになった模様
タミヤニュースの各号から抜粋。見出しで時々使われていた。
https://gyazo.com/d173c95741308101fb765c80a38a8642
https://gyazo.com/e149185f8ebd55e6950665a1d430ed19
「写真によるコンテスト」はじめはタミヤゴシックを使用していたが、のちの号で別書体に置き換わっていた、ということも
https://gyazo.com/76ceb6a24de98b18618b6521720bbcc2
『ミニ四駆ヒストリカルガイド』(小学館, 2012年)
最近刊行されたムック本だが、表紙の書名部分がタミヤゴシックで組まれている
https://gyazo.com/cbd2b4079e48f4967707bd083b5c4a69 https://www.amazon.co.jp/dp/4091065082
今のところ見当たらず
年表
明朝体とゴシック体、ひらがなとカタカナを出品
制作に当たり目指したところ
漢字・ひらがな・カタカナの3種が混ざり、また大きく拡大しても、美しく読みやすい書体 縦組みでも横組でも不自然ではない書体
1961年の「平仮名・片仮名活字デザインとタイポグラフィー」に改良を加えたもの
明朝体のひらがな、ゴシック体の片仮名の2種のみになった
これが完成形となり、その後高島屋の制定書体となった?
8月: タミヤの新しいロゴが初めて使用される
新ロゴ初出は「AMX30ナポレオン」「T55コマンダー」
この2製品ではタミヤゴシックは使用されていないっぽい
ロゴの変更にあわせてパッケージデザインのスタイルも刷新された。そのちょっと後?にタミヤゴシックが使われるようになった模様
2月: 『タミヤニュース』創刊(1967年1月号)
1月:『レタリングデザイン』出版
日報
5/12 にも国会図書館に行っていたがそこで得た情報(といってもそんなに多くはなかった)をScrapboxに反映させた
高島屋の事例をもっと見たいなーと思っているけどどうしたらいいのか……
当時(1960〜1980年台頃?)雑誌に掲載されていた広告などをさがしていくしかない……?
キュアタイプフェースさん、baja さんから、田宮督夫さんの情報が載っていると教えてもらいました。自力ではとてもたどり着けそうにない文献情報、感謝…! GENROQに書かれていた内容をまとめたかたち
タミヤ・高島屋・京王百貨店で同じ書体が使われていた、ということに納得感がでてきた
それぞれに所属していた田宮督夫さんが率先して例の書体を使用していた感じかな
タミヤに持ち出された経緯とか、詳細な動向はまだわからない
さすがにもう文献として残っていなさそうではあるが……
この Scrapbox を公開した
都立多摩図書館
発刊年が認識と合っているかどうかの確認(合ってた)
このアイデアを1961年のものと思っていたが認識違いで、おそらく1962年のものだった模様……
有識者からの情報提供
タミヤゴシックの初出タイミングについて
2010年代の雑誌に記載があるそう
追って確認予定
国会図書館
タミヤの総合カタログ(1982, 1981)を見た
見出しでかなり使われている
いい冊子だったのでほしくなった…
京王の社史には高島屋との関連性について何も言及がないけど、当時の雑誌などをみたら情報があった
「高島屋からタミヤへの伝来」の部分はまだ全然わからない
どう調べたらいいのかもよくわからない。調べて解決する問題ではないのかもしれない……。
なんで?!
国会図書館
「タミヤニュース」は vol.83 より古いものが所蔵されていないことに気づいた。無いものもあるんだな〜
高島屋の社史などをみた
ポスターでの利用事例は少し見れた
店内の様子の写真も載っているが、高島屋制定書体が使われているものは見当たらない