UGN日本支部
先進国やそれに準じる国々の中で、UGN受け入れ、資金提供について最も対応が遅れたのは日本である。日本のレネゲイド対策は、明らかに他国と比べて問題がある。日本では3つの団体(労働厚生省、公安警察、防衛隊)がまったく異なる方針を打ち立て、勝手に対応している。つまり、日本国政府としての足並みが、まったくそろっていないのだ。
当初、UGNへの協力を拒んでいた日本政府であるが、激増するオーヴァード犯罪処に限界を感じ、協力体制を整えた。その過程で国内組織との軋轢が生じ、それはいまだに解決されていない。具体的には、行政機関である労働厚生省がUGNの協力窓口となっている一方、防衛隊と公安警察はUGNとは別に、独自の強硬的なレネゲイド対策を行なっている。
UGN日本支部
霧谷雄吾日本支部長率いる日本支部の下に、大都市やレネゲイド関連事件の多い都市の都市支部がある。
各支部の独立志向が強く、基本的に都市支部単位で行動するが、大規模な事件や、ファルスハーツ関連の事件などでは、日本支部からエージェントが派遣されることもある。
様々な支部
基本的には都市単位の支部が、その都市を中心とした地域のレネゲイド関連事件を担当する。日本支部はその統括を行なう。各支部は厚生労働省関連の独立行政法人や、ランカスターグループ系列の企業としての体裁をとっていることが多いが、小さな支部では喫茶店や探偵事務所を構えている場合もある。また、研究だけを行なう支部や、育成のみを担当する支部など、特殊な形態の支部も存在する。
レネゲイドへの対応
レネゲイドの情報そのものについては、UGNの協力もあって隠蔽・秘匿に成功している。一般人はレネゲイドの存在を知らず、日本社会は表向きは平穏を保てている。オーヴァードに発症した人間の多くは、UGNの持つ全国規模の情報網を用いて速やかに保護され、一般社会に危険を及ぼさぬように、レネゲイドに関する知識を与えるだけでなく、力の制御方法の訓練なども行ない、なるべく一般社会で生活できるようにしている。
だが、それが間に合わずジャーム化するものや、FHによって誘拐されてしまうことも、少なからずある。ジャーム化したものが出現した場合、捕縛、もしくは処理という形で迅速な対応を行なっている。
中枢評議会からの干渉
日本国内だけでも、多くの問題を抱えることになった日本UGN。だが、国外からも厄介事はやってきた。中枢評議会からの介入が始まったのだ。
理由は不明だが、コードウェル博士は現在、日本に狙いを絞り、集中的に戦力を投入している。このことを受けて中枢評議会が、「日本UGNを中枢評議会直属におくべきだ」と主張してきたのである。
これはある意味、妥当な対応とも見えるが、裏にはUGN内部における権力闘争がある。中枢評議会はこの機会に、UGN日本支部を掌握するつもりなのだ。
UGN日本支部長である霧谷雄吾は、現在にいたるまでレネゲイド関連の大きな事件(他国支部や中枢評議会が動くような)において、強権を発動して事件解決の主導権を握ったことが何度かある。霧谷としては、より被害を少なくするための行動であったのだが、一部の評議員の中には、事件解決の手柄を奪うための行為だと取る者もいた。
だが、そのこと以上に、UGNの意志決定機関の意向よりも、自分自身が持つ理念を優先する霧谷雄吾という存在は、中枢評議会にとって邪魔者以外の何者でもなかったのだ。
そこで一部の、アッシュ・レドリックを先鋒とする、改革派と呼ばれる派閥の評議員が結託して、コードウェル博士が日本に注目していることを理由に、ローザ・バスカヴィルという監査役を日本UGNに派遣した。
ローザは表向きUGN日本副支部長として、霧谷を補佐してはいる。だが、本来の役割は日本UGNの独走を阻止しつつ、あわよくば霧谷を更迭して日本UGNを中枢評議会の管理下に置くことなのである。もっとも、沈着冷静、自身の心すらも完全に制御する彼女は、そのようなことはおくびにも出さないが・・・。
日本UGNの今後
多くの問題を抱え、内外に敵を持ち、日本UGNはかつてない危機にさらされているといえるだろう。もし、この状況に耐えきることができずに瓦解してしまった場合、次に被害が及ぶのは一般の人間たちだ。
今はギリギリのラインで保てている日本の平穏。だが、それは砂上の楼閣のように、いつ崩れるか分からない不安定なものとなってしまっている。