競争の法則ー「富の福音」とデモクラシー
競争の法則ー「富の福音」とデモクラシー
アメリカの工業化と「富の福音」
このころには、世界一の工業国として反映
南北戦争以降のアメリカの急速な工業化の成果
農業国アメリカを確立した歴史
プランターと独立自営農民が主体
農本主義が支柱
土地空間を求めて西へ拡大膨張
19世紀後半:
工業国アメリカを確立した歴史
工業利益が主体
産業主義が支柱
土地空間を市場として求心的に内包統合
農業と工業の協業
工業化=脱農業化ではない
市場としての空間の統一
交通機関の発展へと繋がる
巨大な利潤
企業の集中化
百万長者の誕生
アメリカ社会の「成功」の要因
アメリカの豊富な天然資源
エトス、ガイスト(精神)
勤勉と節約に基づく「富への道」(フランクリン)
アメリカ資本主義の精神を南北戦争以降の工業化の時代へと引き継いでいく機能ももっていた
努力という美徳を実行することによってもたらされる成功
「機会の均等」から「競争」へ
工業化の促進のエトス
農本主義的ではなく、より科学的であり人間倫理よりも自然法則的な妥当性が重視
19世紀前半までは機会の均等が重視
19世紀後半からは競争、成果が重視
適者生存の法則
非人間的な産業主義がもたらす貧富の差や階層差が自然法則の結果として正当化された
成功者は勤勉であったから成功した、不成功者は勤勉でなかったから成功しなかった、という転倒
南北戦争後の「金ぴか時代」では、金銭的成功は同時に道徳的にすぐれていることのあかしともされた ウィリアム・ロレンス「富は、ただ道徳的な人間にのみもたらされる」
牧師ラッセル・コンウェル「金をもうける人こそ、諸君が社会において見出す最も正直なひとであるかもしれない」
名門の生まれのエリート
生まれながらにして適者である、つまり適者であることを証明できない(最初から不適者である)
二つのデモクラシー像
デモクラシーによって生まれた勝利者
教育の普及、機会の均等、勤労者の地位を賛美
アダムズ
もともとデモクラシーに批判的ではないが、ジョンソン大統領に会って失望 政界の腐敗、非道徳性、無能性についての批判を展開
デモクラシーの持つ本質的な矛盾
権力への参加を万人に認め、権力の存在を意識させない
現実にはそこに権力があり、権力者がいる
アメリカの成功
農本主義の原型
ヨーロッパに対するおくれの中に道徳的優位を認めた
ヨーロッパより孤立してアメリカ独自の文明・体制の建設を求めた
産業主義の原型
イギリスを模範とし、海洋国家・工業国として発展することを夢とした
近代的海軍の建設(海外貿易を重んじ、通商を保護)
アメリカ人の状況からいえば非現実的、また感情にもそぐわない
世界一の工業国となったアメリカ
世界的な・普遍的なアメリカとして意識することも可能
世界列強、普遍的文明の担い手
国内市場の充足からの海外市場への進出
文明の西漸という文化的使命感
→海洋帝国の建設
国内市場の確保・開発に重点をおいた資本家も多かった
「明白な運命」、経済理論、会場権力の理論、ソーシャル・ダーウィニズムが介在
シオドア・ローズヴェルト(政治家)、ブルックス・アダムズ(学者)、ジョサイア・ストロング(牧師)など ソーシャル・ダーウィニズムの広範化
国家間・民族間に適用が拡大
アングロ=サクソン優秀論
元来人種的多様性が前提であるアメリカでは内部分裂をもたらす
19世紀末は古いアングロ=サクソン系アメリカ人と新しいアメリカ人との対立が表面化 イギリスとの関係の変化
旧敵だったイギリスが英米同盟論の対象として称揚されるようになった
人種的偏見のニュアンスをとりのぞくというモチベーション
VS日本、ドイツ
リチャード・ヘフナー
アメリカの攻撃性は安全と自信との感情から出てきているものではなく、むしろ、アメリカ人の<使命感>、人種主義、ネイティヴィズムは、主として自信よりも恐怖心から出てきているものであった。けだし、この時代は<自信の時代>などというものではなく、むしろ、内部的に混乱した騒然たる時代なのであった」