空間の論理ー対抗概念としてのデモクラシー
ヨーロッパ文化の継承と断絶
もともとヨーロッパからわたってきたアメリカ文化ーだからこそ意識的に自己の対抗物としてとらえ、新しいみずからの文化を築こうとする
「アメリカでは、20世紀の初めごろまでは<アメリカン>と<ユーロピアン>という言葉は正確な地理的用語というよりは、論理的な対比として用いられてきた」ー『アメリカとヨーロッパ像』
ヨーロッパと対比させることによって存在理由を主張
アメリカ人の自意識ーヨーロッパ人に対するコンプレックス
デモクラシー(共和制)と君主制・貴族政
東部対西部(固定的社会対流動的社会)
「開拓者と海岸との間に山脈が聳えたときから、アメリカニズムという新しい様式が現れた」
「フロンティアの前進は、ヨーロッパの影響から離脱する着実な運動、アメリカ的進路に沿った着実な独り立ちへの発展、を意味した」
脱ヨーロッパ化、アメリカ的進路≒デモクラシーの増進
体制の相違と空間の相違との重複
体制の変革
ヨーロッパでは時間的概念
過去の体制と時間的に断絶すること
同一空間内での相剋=改変
体制は同一空間内で時間的緊張のもとにおかれる
アメリカでは、体制の変革は各人が空間を変えることによって起こるものとされる
まずは移住による革命、場の移動による革命
クレヴクール
場の移動によって変改は起こる。貧民は市民となる
成功への夢→アメリカへ行くことの夢
西漸運動
場の移動の論理がアメリカ内でも適用
東部→西部
単なる地理的移動ではなく、社会的移動をも意味した
個人的成功の機会をより多く与えるだけでなく、選挙権や土地が与えられる≒市民になれるということでもある
独立革命
本国イギリスの古い体制との絶縁
場の移動は場の独立によって裏打ちされる
アメリカ革命についての解釈
本国よりの独立に重点を置くか、「内部革命」に重点を置くか
愛国的ホイッグ学派
帝国学派
革新主義学派
新保守主義学派
新左翼学派、新社会史学派、共和主義学派
革命によって否定されたのは君主・貴族(アメリカには不在)
アメリカ革命の「保守性」
アメリカ内にすでにあった場の精神を「保守」しようとしたという意味
体制的な断絶を伴っていたという意味で「革命」
時間的断絶でなく空間的断絶であるので、空間ー体制が超時間的に結び付けられて捉えられやすい
だからこそ、その体制以外の体制への変化は発想として起こってこない
一定の社会体制を「保守」するという姿勢に繋がる
孤立主義と普遍主義
孤立主義
場の外からの脅威から守られる必要性
権力政治的発想のほか、倫理的・体制的発想
場の精神は場を超越して主張される普遍的精神に神経質
正統主義、カトリシズム、共産主義…
精神的孤立主義の趣
外部からの異質な思想の流入に対する警戒心
同時に、「成功」の夢のためには外部に顕示され、拡大されなければならない
アメリカン・デモクラシーはアメリカ社会自体の成功の夢であり、成功しなければならない