涼宮ハルヒの憂鬱
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【出版年度】
ある日突然謎の転校生が俺のクラスにやって来て、そいつが実は宇宙人とか未来人とかまあそんな感じで得体の知れない力なんかを持ってたりして、でもって悪い奴らなんかと戦っていたりして、俺もその闘いに巻き込まれたりすることになればいいじゃん。メインで戦うのはそいつ。俺はフォロー役。おお素晴らしい、頭いーな俺。
フォロー役がいいっていう消極的な主人公はどうも珍しい気がする.
こういった摩訶不思議な物事を求めている人たちというのはもっと目立ちたがり屋というか,自分中心にもっと進んで何か関わっていきたいのだと思っていたが.
あるいは稀有な能力を持っている特別な存在でいることを切望しているとか.
というか,そもそも主人公として設定されがちなのがそういう人物だよね(だから,一般的には涼宮が主人公ということになるのだろうけど,キョンが主人公という認識であってる...よね?)
なんというか,自分でどうこうする気はないが面白いことは起こってほしいという受動的な感じ.待ってるだけで行動を起こす気はないっていうのが前の時代と違っている?
俺だってハルヒの意見に否やはない。転校生の美少女が実は宇宙人と地球人のハーフであったりして欲しい。今、近くの席から俺とハルヒをチラチラうかがっているアホの谷口の正体が未来から来た調査員かなにかであったりしたらとても面白いと思うし、やはりこっちを向いてなぜか微笑んでいる朝倉涼子が超能力者だったら学園生活はもうちょっと楽しくなると思う。 だが。そんなことはまずあり得ない。宇宙人や未来人や超能力者がいるなんてことがあり得ないし、たとえいたとしてもホイホイ俺たちの前に登場することも、だいたい何の関係もない俺の前にやってきて「いやあワタクシ、その正体は宇宙人とかでして」と自己紹介してくれるわけねーだろ。
やっぱり,キョンも宇宙人や未来人を求めているのだけど,そんなことはありえない,と否定している
こうやって否定しているキョンはそれらの存在を認識していて,諦めず宇宙人や未来人を探しているハルヒは認識していないという逆転がある
中学校を卒業する頃には、俺はもうそんなガキな夢を見ることからも卒業して、この世の普通さにも慣れていた。一縷の期待をかけていた一九九九年に何が起こるわけでもなかったしな。
世紀末に何も起こらなかったあとの時代.2003年だからそういうかんじか...
ムーとか読んでそうなボンクラな感じがいいな.大槻ケンヂとか伊藤計畫とかそういう匂いがある.雨宮かりんとかたけもとのばらとかとも同時代だよね?なんかわかる
ラムという壮絶な非日常があっというまに日常に回収されてテレビシリーズが展開していった果てにBDがあったのだとしたら、 (伊藤計劃日記より) うる星やつらの場合,ラム自身が非日常だがあっという間に日常に回収されてしまう 涼宮ハルヒの場合,そうではなく日常に非日常が侵入していることを描いているという逆転.
涼宮は実は非日常な存在なのだが彼女自身はそれに気づいておらず,またSOS団や彼らに対して降りかかる非日常性を引き受けるのはキョンだけである.
別段一人で飯喰うのは苦にならないものの、やはり皆がわやわや言いながらテーブルをくっつけているところにポツンと取り残されるように弁当をつついているというのも何なので、というわけでもないのだが、昼休みになると俺は中学が同じで比較的仲のよかった国木田と、たまたま席が近かった東中出身の谷口という奴と机を同じくすることにしていた。
この,「というわけでもないのだが」の効果はなんだろう?うまく読み取れなかった
光陽園駅は高校から一番近い私鉄の駅だが俺の自宅からではチャリをどんなに飛ばしても二十分はかかる。
けっこう田舎なのかな?そんなこともないか?
彼女(涼宮)には自分の都合の良いように周囲の環境情報を操作する力がある。
『機関』のお偉方は、この世界をある存在が見ている夢のようなものだと考えています。我々は、いやこの世界そのものがその存在にとっての夢にすぎないのではないかとね。なにぶん夢ですから、その存在にとって我々が現実と呼ぶ世界を創造したり改変したりすることなどは児戯にも等しいはずです。
インスタントラーメンなら食べ頃になってくる時間をかけて、「アプリコット」と告げる。 どうせ俺のおごりさ。
ここの文章のつながりが不明.なぜ,最後にどうせ俺のおごりさ.が入るのか?アプリコットは高いのかな.
何度言ったか解らないが、もう一度言ってみる。「やれやれ」
「一個だけ訊いていいですか?」「何でしょう」「あなたの本当の歳を教えて下さい」
このセリフの意図がいまいちわからないな...実際には朝比奈さんはもう少し年齢が下ってこと?
「また無印ですね」 白すぎる歯。こいつは笑ってばかりいるような気がするな。「わたしも」 朝比奈さんがつまんだ楊枝を俺に見せた。「キョンくんは?」「残念ですが、印入りです」 ますます不機嫌な顔で、ハルヒは長門にも引くようにうながした。 クジの結果、今度は俺と長門有希の二人とその他三人という組み合わせになった。
涼宮は,キョンが朝比奈に好意を持っているのを嫌がっているっぽい.
「なあ、また朝倉みたいなのに俺は襲われたりするのかな」「だいじょうぶ」 この時だけ長門は顔を上げ、俺を見つめた。「あたしがさせない」 図書館の話はしないことにした。
??ここで図書館の話をしないことにしたのはなぜ???
涼宮の人物像
何でか知らねえけどコクられて断るってことをしないんだよ、あいつは。
他人を拒絶しているように見えながら,実はけっこう素直なのだと思う.まずは受け入れよう,面白い人かもしれない(面白いことかもしれない)というある種の開き方をしている.
「出どころは谷口? 高校に来てまであのアホと同じクラスなんて、ひょっとしたらストーカーかしら、あいつ」
行動に似合わず,クラスメイトの名前を覚えている.このような人物なら,「興味ない」のかなと予想していた.やっぱり,うまく関わりたいという気持ちはあるがそうできない,というところがありそう.
これはけっこう意外(割とどれも意外だけど).話に聞く,アニメの涼宮とはかなり印象が違うように思える.
どいつもこいつもアホらしいほどまともな奴だったわ。日曜日に駅前に待ち合わせ、行く場所は判で押したみたいに映画館か遊園地かスポーツ観戦、ファストフードで昼ご飯食べて、うろうろしてお茶飲んで、じゃあまた明日ね、ってそれしかないの?
判で押したようなロールプレイングをされることに違和感がある?着替えとかを平気で人前でしてしまうのは,相手を人間と思っていない,ということであるとか成熟してなさを表そうとして作った設定なのかもしれないけど,そういった「こうすべき」という規範の内面化を拒否してるのかなあとか.
それらは全て「普通の人間」性の問題かな.
宇宙人、もしくはそれに準じる何かね。とにかく普通の人間でなければ男だろうが女だろうが
白がほとんど電話だったのは何なの、あれ。そういう大事なことは面と向かって言いなさいよ!
根が真面目.
「じゃ、この人は上級生じゃないか!」「それがどうかしたの?」 不思議そうな顔をしやがる。本当に何とも思っていないらしい。
この「上級生かどうか」というのも涼宮にとっては着替えやデートと同じく非本質な常識である.
実は涼宮は,常識そのものは理解している節があり(丁寧な言葉遣いもできる),だが無視するものと受け入れるものは自分で判断している
痴漢をするのはほんとうに最悪だと思う.
運動部にでも入って思い切り暴れてろよ。お前なら即レギュラーで活躍出来るさ。
執拗に涼宮の外見が描写される理由がわからなかったけど,この「運動神経がいい」と合わせて考えると
スペックだけ見ると普通に運動部で活躍したり,イケメンの彼氏ができたり友達ができたりして絵に描いたような充実した学校生活を送れそうである
意図的にそれをせずに自分にとっての大切なものを追いかけているキャラクターを強調したい
ということなのだろうか?
宇宙人や未来人や超能力者なんざ、まるっと無視して適当な男を見つけて恋愛に精を出したり運動部で身体を動かしたり、そういうふうな凡庸たる一生徒として三年間を過ごさせるべきだったのだ。
こんなセリフもある.
宇宙人や未来人や超能力者が存在して欲しいという希望と、そんなものがいるはずないという常識論が、彼女の中でせめぎ合っている
よもや三十分前に来たのに俺がもう待っていると思わなかったのか、
涼宮は30分前にはいつも待ち合わせにきてるということになる.やっぱり真面目なんだろう
キョンの人物像
キョン、高校生にもなって妹のお守りでジジババのご機嫌うかがいに行っててどうすんだ。高校生なら高校生らしいことをだな
ゴールデンウィークに従兄弟連中で集まるのが家の年中行事なんだよ
家族仲が良さそう,家庭環境も良さそう.ほんとうに何も困ることはないがただちょっと退屈という感じなんだろうな.
しかしハルヒがまともな返答をよこしたことは驚きだ。てっきり「うるさいバカ黙れどうでもいいでしょ、んなこと」と言われるものだとばかり思っていたからな。思っていながら話しかけた俺もどうかしてるが。
この人はこの人でよくもまあ話しかける.この人も宇宙人や未来人を求めていて,でもそんなふうに夢を持つのは諦めた...という人だから,涼宮に憧れやシンパシーがあったんだろう.仲間意識というか.
「あんたは、つまんない世界にうんざりしてたんじゃないの? 特別なことが何も起こらない、普通の世界なんて、もっと面白いことが起きて欲しいと思わなかったの?」「思ってたとも」
やっぱり,ここで涼宮はキョンを見出している.
「まあ、そうかな、俺ならどっかに呼び出して言うかな」「そんなことはどうでもいいのよ!」
この返が来るのは当たり前だと思う.実は涼宮よりキョンのほうが自分中心的でコミュ障なんじゃないかと思う.「俺なら」って言われても,お前がどうかは聞いてないよっていう...これは明らかにハルヒの反応が正しい...
「眼鏡の再構成を忘れた」「……してないほうが可愛いと思うぞ。俺には眼鏡属性ないし」
出たよコミュ障
ハルヒの生き様をうらやましいと思う理屈では割り切れない感情が心の片隅でひっそり躍っていることも無視出来ない。 俺がとうにあきらめてしまった非日常との邂逅をいまだに待ち望んでいるわけだし、何と言ってもやり方がアクティブだよな。 ただ待っていても都合よくそんなもんは現れやしない。だったらこちらから呼んじまおう。で、校庭に白線引いたり屋上にペンキ塗ったりフダを貼り回ったり。
涼宮のようにいきたいという感情あり
次の日、一緒に帰ろうぜと言う谷口と国木田に断りを入れて俺は、しょうがない、部室へと足を運んだ。
これも,面白いことがありそうという感覚からだろう.
「どちらかと言うとキョンも変な人間にカテゴライズされるからじゃないかなぁ」
キョンの友人から見たら(外から見たら)彼も変な人間なのだという.
キョンの朝比奈に対する言動行動や思考は明らかに加害的なものだと思う.涼宮のみが最悪なわけではないしこいつが一番タチが悪いと思う...
いつからかな。本を読まなくなったのは。読んでも面白いと思わなくなったのは。
空想の世界で楽しむことが面白くなくなったんだろう.なんとなくわかる.だけど,本当はまだちょっと好きなんだよね
そんな世界になったとして、そこで俺の果たす役割は何なのか。
キョンから見たそれぞれの人物評
基本的に古泉含めて彼の人物評は外見中心である
朝比奈に対する評にのみ感情が入って暴走していることに注目したい
キョンが恋愛をしているとしたら(あるいは異性への欲求を抱いているとしたら)それは朝比奈でしかありえないのだと思う.
別に涼宮とキョンは恋愛関係にはないし,今後もならないと思う.
キスしてほしがっていたあたり,涼宮はキョンに好意を持っているのかもしれないが,それだって涼宮が未来人に会いたがるのと,あるいは季節のイベントをSOS団で行うのと同じようななんとなくの憧れの一つに過ぎないのだろう
土星のマイナー衛星が落ちたとかどうしたとかいうタイトルのハードカバー
これ,元ネタあるのかな〜?(探せなかった)
そういえば,「キョン」の本名はいつまで経ってもわからないし,外見についてたった一つの情報もないし,というかキョンに言及している人はほとんどいないし(国木田?が「お前も十分変なやつだよ(だから涼宮に絡まれる)」といったっきり),この辺りも村上春樹っぽいな.
参考: