権力・参加・空間=小共和国論
権力・参加・空間=小共和国論
アメリカ人と権力
権力そのものを否定していたわけではない
アメリカ革命の人びとは、権力をごく当然のこととして理解していた。けだし、権力は、くに中を通じて自治のあらゆる制度に包含されていたからである
各ステイトの憲法、メイフラワー誓約など
自治という形で権力関係を、統治構造をもっていた
ただし、この権力体験はタウン・ミーティングや植民地議会などを通じて、権力への参加体験を基本的前提としていた
すべての権力は人民に存し、したがって人民に由来し、執政に当たる者は、人民より信託を受けたものとして、常に人民に対して責任を負う ーヴァージニア権利の宣言(1776年) アメリカの権力関係における空間的距離ないし広さの要素
権力参加は、元来自ら直接参加することを論理的、心理的に意味した
実質的有効性の担保のため
地理的に可能である空間的広さに限定された決定過程でなければならない
やむをえず、自己にかわる代表によって決定に参加
この場合、代表と被代表者間の距離は、心理的にも地理的にも短距離でなければならない
決定の場ができるだけ地理的に近いこと、各選挙区からできるだけ等距離であることが要請
時間的に代表の任期が短く、代表が常に選挙民の意向に左右される状態にあることが要請
代表の員数ができるだけ多く、代表数と選挙民数との比率ができるだけ正確であることが要請
決定の場を中心とする権力空間はできるだけ狭小であることが望ましい
植民地が拡大し、権力参加の度合いが希薄化、不均衡化せざるをえないなら、別の権力空間が新設されることが望ましい
ジェファソン…ヴァージニア邦が拡大するにつれ、別個の自由にして独立したステイトが設立されるべきと指摘 イギリス本国とアメリカの体験
イギリス本国の「有益な怠慢」
大西洋を挟んでいるから権力の不作為をとらざるをえなかった
逆に、アメリカは相当の自治を享受
1763年、七年戦争の終了と共に、大国となったイギリス政府は植民地を統轄しようとした ロンドンの権力が急に顕在化
これらの植民地の人びとは、大英国下院に代表されていないし、その地理的状況からして代表されえない
植民地議会のみが植民地人に課税しうる、本国にその権利はないという主張
かりに代表を送ったとしても、距離的なもんだいで名目化してしまうので、「地理的状況からして代表されえない」
アメリカ人の心理と論理では、権力参加を前提とする権力空間は地理的に限定されたものたらざるをえない
権力分立論
共和国が小さな領土しかもたないということは、その本性から出てくる。そうでなければ、それはほとんど存続しえない
多くのアメリカ人の共感
主張の権威付け
この憲法案に反対している人びとは、共和政府にとってはその領土が狭く限定されていることが必要であるというモンテスキューの見解を、これ務めて引用し、流布している ーザ・フェデラリスト
この大陸はかくもあまりにも広大であるので、ひとつの国家的政府が、そのすべての部分に浸透し、それらの服従を確保するに十分な権力活力を持ち、しかも自由の享受と保持とを保、というわけにはいかない。アメリカの人びとの精神と習慣とは、こうした政府には反対なのである
共和政的性格をもった政府が市民の自由と幸福とを保持するのに最善のものと思われるが、そうした政府はその範囲において小さな領土においてのみ考えられうるのである
共和政と小国家とを結び付けた