挫折の心理ー大衆デモクラシーへ
挫折の心理ー大衆デモクラシーへ
フロンティアの喪失
フロンティアの喪失と共に、アメリカ史の第一期が終わった
アメリカ社会の機会が失われてきたということ
われわれが、ヨーロッパのように大都市におすなおすなとおしかける場合には、われわれもヨーロッパと同じく腐敗し、ヨーロッパ人がやっているように互いに喰い合うようになるでしょう
農業人口の相対的な低下を暗示
農民に深刻な打撃
独立自営農民の国から、都市の「盗賊貴族」と労働者とのアメリカへ・・・?
旧い健全なプロテスタント・アングロ=サクソン文化が、新しい腐敗したカトリック、新移民文化によって蚕食されるものとしてとらえられた
クレヴクール「最も完全な社会」が失われ、アメリカがヨーロッパ化? アメリカの夢の挫折
楽園の復活が求められた
人民党
南北戦争以降、農民は不況に対処して農業利益の確保をはかる(グレインジ、グリーンバック党、農民連盟など)、また人民党を組織し権力それ自体の奪取をはかる アメリカ国民が、道徳的・政治的・物質的に破滅の危機に瀕せしめられている
(中略)政治の不正という胎内から、浮浪者と百万長者という二大階級が生まれている
危機感、分裂と対立の現状
1896年の選挙では民主党のブライアンをおし、共和党のマッキンレーと激しく戦う 国民の多数と同一視しえていた農民最後の戦い
ブライアン
大都市はわれわれ(農村)の後代にして肥沃な原野に依存しているのだ
少数化した農民は急進主義から伝統主義的側面を強調するように変化
工業化・都市化・新移民化にたいする反動の要素
対立の時代
アメリカの政治的安定の要因
社会的移動性が高いという現実と神話
「丸太小屋よりホワイトハウスへ」
権力の頂点と底辺とが一体化
シカゴ万博、ターナーのフロンティア学説発表、恐慌の年
アメリカ全家族の9パーセントがアメリカ国富の71パーセントを所有していることが学術誌に発表
「階級なき社会」「ミドルクラスの国アメリカ」というイメージの破綻
企業の集中化
U.Sスティールが鉄鋼業の70パーセントを支配
独立自営・機会均等・自由競争
年々増加する移民
大都市のスラム街にひしめく
労働者の労働時間は1日10時間、未熟練工は1日1ドルではたらく
ストライキ
体制批判の評論家が相次ぐ
「みせびらかしの消費」
所得税を払う必要もなく、ヨーロッパの貴族をまねてヨットや大邸宅
被支配者との一体感をたちきる
セバスティアン・デ・グレイジア
金ぴか時代に住んだことのあるものなら誰でも、大物たちの数知れぬ話、お互いに濫費を競い合い、無駄に豊かさを誇りあった話を覚えている。通常、しっかり結ばれた政治社会では、人民は支配者が豊かな生活をし、鷹揚に与えるのを好むものである。ただし、それは、支配者が彼らの一人であり続ける限り、彼らの支配者であり続ける限りである
輝かしい成功とともに、アメリカ内に旧い農民の挫折、新しい工業労働者の挫折、都市ミドルクラスの挫折をもたらした時代
対立の時代(アキュート・アノミーの時代)
体制と革新
エリート(旧い中間層)は体制の安定化を希求
新興成金に乱用される権力、新興労働者の組織力と旧い農民の急進主義に脅威
アッパーミドルクラス、アイヴィーリーグ出身のエリート
体制の不安定化に不安を感じ、政界に身をすすめる
体制の外延的拡大による領域内平和
ローズヴェルトの棍棒外交、タフトのドル外交、ウィルソンの宣教外交
文化的・経済的な対外膨張
内政面での安定化追求
農民急進主義には批判的だが、頂点と底辺の一体性の回復には熱意
独占の抑制
政府の役割の増大
弊害を抑制し、利害を調整
体制保守のための革新
アメリカン・デモクラシーへの信頼を回復
保障の追求
第一次世界大戦後、機会の閉塞した状況
大衆は政治に機会よりも保障を求めるようになった
失業、障害、老後...
繁栄の時代、一方で機会の閉塞を制度的に表現した移民法制定
都市人口が農村人口を超過、都市化が決定的になる
大量生産・消費・マスメディアの定着
マス化の現実が顕著に
19世紀のマシーン(政党の下部組織)の発達
資本主義社会の競争の法則に適応しえない人々への日常的な保障
アメリカン・デモクラシーの腐敗を表明するものとして批判されるが、移民たちにとっては重要であった
移民青年が成功をもとめ、政治家へと立身出世
19世紀末までは西部の農民出身であることが有利
19世紀末からは東部大都会の移民区域出身が有利
ケネディ大統領の祖父などの、アイルランド系のボスたち、イタリア系のラガーディア 西部に赴いて独立自営農民になるという庶民の夢は、都市の大衆としての生活の保障に変化
社会福祉的な立法で投票獲得する政治家たち
大衆の保障への希求と権力への依存の表面化
進歩、成功の夢の挫折
個人と社会の救済者としてのニューディール
国家権力が個人の生活分野に決定的に力をおよぼす
デモクラシーが決定への参加から配分への参加へ
能動的市民は、受益者としての市民へ