吾輩はライ麦畑の青い鳥 名作うしろ読み
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漱石の『吾輩は猫である』や、サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』の驚愕のラストを知っていますか? 時代を越えて愛されながら、意外と知られていない名作のエンディング。世界の文学一三七冊をタイプ別に分析し、お尻の一文から、文豪たちのセンスや生き方を鋭く批評する。斎藤美奈子流・切れ味抜群のブックガイド!
「極楽ももう午に近くなったのでございましょう。」
「……ったく、……この、未熟者めが!」
「自由というのは、もはや、不自由の反対語ではないのです。」
楽しくてタメになる文学案内シリーズ最終巻。『名作うしろ読みプレミアム』を改題。
内容説明
名作の“急所”はラストにあり。「へそをなでています」「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。難有い難有い。」―意外と知らない唐突、納得、爆笑!?な終わりの一文。『西遊記』『吾輩は猫である』から『ライ麦畑でつかまえて』まで、世界の名著一三七冊をうしろから味わう型破りなブックガイド。
目次
1 危険な恋愛―許されぬ恋、満たされぬ恋。なぜにあなたは破滅を選ぶ。
姦通小説は数あれど、フランス文学史に燦然と輝くフローベール『ボヴァリー夫人』はその筋の最高傑作だろう。いや、姦通小説を換骨奪胎した批評的作品というべきかもしれない。なにしろヒロインはじめ、登場人物が俗物ばかりときているのだ。 ラストは、この小説の陰のキーパーソンの動向だ。〈オメー氏は物すごいほどの顧客をつくっている。当局も彼には一目おき、世論も彼を擁護している。/彼は近ごろ名誉勲章をもらった〉 恋愛病に冒されたエンマとマヌケな夫をあざ笑うかのような末尾。ちょっと三面記事風だ。 2 少年と少女の部屋―大人も真っ青。純真なだけではいられない未成年の物語。
〈否、その匂いこそ、これからの三人の少女の結び合う友情のあかしの如く、明るく、清く、しめやかに、懐かしく牧子の心に浸み入ったのである――〉。 悪役スターだった陽子の位置づけが、最後の一文でみごとに反転する。おそるべし、香水の力。ちなみにわすれなぐさの花言葉のひとつは「真実の友情」。花の香りの香水が、友情のあかしとして立ちのぼっちゃうんだもん。少女小説ならではですよね。
3 おとぎ話の迷宮―知ってたつもりの名作童話も、大人の目で見直せば…。
4 歴史は劇場―娯楽目的の時代小説、史実に基づく歴史小説。どっちがお好き?
5 犯罪のあとさき―「犯人は誰?」の興味を超えた、ミステリーと超ミステリー。
6 現代の奇譚―空想と科学は紙一重。ロボット、宇宙、タイムマシン、人の脳!?
文蔵が常用の棒紅とともに畳に散り落ちた一ひらの花、骸骨のぶっちがえの附いた紫色の小壜であった。
顔色の悪さを隠すため、文蔵は棒紅(口紅)を常用していた。不気味なデザインの壜の中身はモルヒネの粉。事故か故意か、文蔵はモルヒネで絶命していたのである。現実に目覚め明日への希望を見つけた「わたし」と、現実逃避の果てに死んだ文蔵の対比が切ない。凄まじい幕切れなのに一瞬ポカンとしてしまう。恐るべき末尾。
石川淳を読むとは句読点も改行も極端に少なく息の長い文章を読むことにほかならない。
kana.icon 好き
聖なる者(ピザン、ジャンヌ・ダルク、ユカリ)と俗なる者(わたし、文蔵、お綱)が縄のごとく撚りあわされた奇異なるテキスト。前衛文学は幽玄の世界と紙一重なのだ。
kana.icon 幽玄! おしゃれなこという...
7 旅こそ人生―冒険の旅、探求の旅、遊興の旅。人は移動する生き物だ。
8 社会と人間―人の世は不条理だらけ。格差、貧困、戦争、差別。
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ライ麦畑でつかまえての解説では、ライ麦~翻訳の文体を模倣してみたり、あいかわらずスマートでユーモアのある斎藤の本 最後の方、もはやうしろそんなに関係なくない!? という書評もあるように見えるけど勘違いだろうか。
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