ハーバート・サイモン
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ハーバート・サイモン:デザインは科学だ男
ハーバート・サイモン
デザインとは、「既存の環境を改善して、望ましい環境に変えるプロセスである」という話を聞いたことがあるでしょうか。これはサイモン氏の主張です。彼は、私たちの世界は「人工物」(人間の創造したモノ)で構成されていると信じていました。彼の名著『システムの科学』では、私たちの創造(デザイン)した人工世界について(経済学から心理学の分野まで)非常に深く分析されています。
彼の結論は、人間に知られている究極的な人工物は、人間の脳であるというものです。彼は、コンピュータと人間に境界線を引いて比較することで、この考えを著書全体で、心理学的に正当化しようとしています。ですが、ここではその詳細については触れません。
我思う故に、我計算する
こうした比較は、私たちの脳には(コンピュータのように―それも人間の脳が作ったものですが)限界がある、というサイモン氏の主張を示すためのものでした。したがって、人間がデザインするときには「最低限の満足化(satisfice)」を目指すしかありません。コンピュータも人間の脳も、外部の環境の複雑性や変数を理解できないからです。
ロボットは私たちの脳の能力を反映している
「イノベーティブ」な手法としてラピッドプロトタイピングをするのが好きな人には、衝撃を与えたかもしれませんね。ですが、サイモン氏は、シミュレーション(プロトタイピング)の考え方こそが、「最低限の満足化」につながる解決策を生み出せる最善の方法であるとしています。以下のコメントは1970年代に出版されたものです。
「システムを理解するためには、システムを実際につくり、そのはたらきを実際に観察しなければならない」(『システムの科学』より) 今日の大規模で複雑な環境問題や社会問題を踏まえ、解決策につながる最も重要な要因とは、すべてのステークホルダーの理解(問題に対する全員の共通理解)であるとサイモン氏は強調しました。大規模な環境問題や社会問題に直面したときに、その結果はオープンで進化し続けるものであり、最終的なゴールはないとサイモン氏は気づいたのです。