拙さゆえの不協和音をどこまで許容するか
from 2024/09/26
不協和音をどこまで許容するか
「巧妙な不協和」はここでは問題にしない
クラシックで議論になるやつとか、長谷川白紙とかJacob Collierみたいな掟破り系はそういうチキンレースなので
というか不協和音を進行の推進力のひとつになってる、みたいな意味での別種の調和音として捉え直す、みたいなゲームだと思っている
ここでは単に拙いだけの不協和音を問題にしたい
#拙さ
聴く人によって許容値が大きく変わるイメージがあるkbyshwtn.icon
ほどほどに気にはなるけど、無視していい場合とそうじゃない場合みたいな線引きがゆるやかにある
Lantern Paradeはかなりギリギリな印象があるけど、そもそも「テキトーさ」を演出してるので許してしまえる
https://open.spotify.com/intl-ja/track/5eZWyKlu0w01bHDJh8qGRI?si=7c1b9e69de644b84
フィッシュマンズのベースとか掛け声の怪しさもある種のかわいさの演出だと思えば気にならない
https://open.spotify.com/intl-ja/track/682TDtMAq9UcKN0QqVN019?si=22ec05fa860e4d88
サンプリングミュージシャンだと認識してればそんなに気にしない、みたいなのはある
拙さ故というよりサンプリングという技術の特性の問題なので
例えば能力値の超高そうなOPNでも一部怪しい曲はある
https://open.spotify.com/intl-ja/track/6YtmXlaoK5pktbxpf8Fiwu?si=b73b810c076b4c7b
ぶつかってる音をあえて取らないで聴く、という態度がサンプリング音楽には求められるところがある気もする
Nine inch nailsのPiggyの~1:15とか1:50から入るエアリーなリードシンセは倍音成分をあえて聴かないことでギリギリ成立してる、みたいな捉え方できるし、成立してないと思えばそれはそれでいい、みたいになる。インダストリアルでありながら音楽的、のギリギリを攻めてる好例。
https://open.spotify.com/intl-ja/track/2U6XVpYnXEIbHodzlRYweB?si=980147bb32744c0a
いやむしろそれをまっすぐに受け取って聴くことで得られる体験もあるのでなんともいえん
まあただぶつかってない曲の方が普通に好きではあるな
https://open.spotify.com/intl-ja/track/4TBVy5cFYGmK5BA3rdMGEQ?si=6b3da09be9434e16
Animal Collectiveをサンプリング音楽と捉えるかどうかは微妙な所だが、これは成立してないのに成立してる、みたいなギリギリ感を楽しむ音楽だと理解してるのでそれはそれでOK
って思ってちゃんと聴いてみたら案外楽音的にも成り立ってるな。不思議な音楽だ。
バンド音楽であからさまな拙さ故の不協和ってあんまないけど、昔コピーしたことある曲で覚えてるのはHumのIsle of the cheetahのリードギターのフレーズが明らかに変で、その拙さが好きポイントだった、みたいなのはある
https://open.spotify.com/intl-ja/track/2Mw6fORlGGxSBls1zGwxxN?si=cbe9dac18b3a4b39
1:06のハイフレットフレーズ
4:15からの最後まで続くオクターブ奏法
ロックだと不協和音が気持ちいいんじゃ!みたいなやつが多い
そういうもんだと思って聴くので気にならない
有名曲だとNirvanaのこれ
https://open.spotify.com/intl-ja/track/5aOwFdqFvIj4HYvgClYzqx?si=3eceff24060a4d60
Shellacが顕著
https://open.spotify.com/intl-ja/track/7r1ie5BXiEyCvCYw5fKcOh?si=f83df1f912fa486f
この曲の3:13~から雑にギターだけが半音アップするのとかは逆に巧妙に感じなくもない
https://open.spotify.com/intl-ja/track/7hAqp57s3k8nFqDyE9MZqQ?si=9651a6114ac74791
そもそもメタルというかドロップチューニングで作ってるリフは和声で解釈するの馬鹿らしくなるものが多い
テクノも同じような傾向がある
シンセ一本くらいしか鳴ってないような和声解釈することを許さない曲がザラにある
テクノにはテクノの「不協和って気持ちいい!」みたいなノリあるな
Jeff millsはそういうノリ強い。代表曲のThe bellsからして怪しいし。
https://open.spotify.com/intl-ja/track/4rdYK7bQ8snVujs3D1Q7Lb?si=4023df79a06a4539
nozakimugai.icon
個人的には和音単体における不協和はあまり気にならない
「そういう響き」として聴ける
和音とメロディの間の不協和は結構気になる
https://open.spotify.com/track/19YKaevk2bce4odJkP5L22?si=j7TCMpHpSWScIhX3AUdwcg&context=spotify%3Asearch%3Anike
これの0:44-でコードがIIImなのにメロがIVの音になってるのとか当初めっちゃ嫌だった
ただこれも慣れれば「そういうモード感」として聴けてしまう
わかるkbyshwtn.icon
そういうもんだと思って聴けば聴けるのもわかる
メロディに対するハモリがスケールアウトした時が1番気になるかも
https://open.spotify.com/track/18GrebzkvJvPJQ1I2pqaUy?si=EHFmfdW1SUG50bX4TieGzA&context=spotify%3Aalbum%3A5VFNTMTKTh7DoVTDw9URba
自分の曲だけど、サビで出てくるような“メロのピッチを5度上げ下げしただけ”みたいなハモリは本来好きではない。この場合は曲自体の分裂的な雰囲気と電子音響感でなんとかなってるけど。
まあこれはサビがあえてのコテコテスムースジャズの振りしてる感じするしこれはこれで演出として許せるkbyshwtn.icon
「不協和音」は文脈依存的
https://open.spotify.com/track/2dHdwVczT03jDvXf9zJRYt?si=Y3Z8mF5OQD-V12uahIyUjA&context=spotify%3Aalbum%3A22vS4hYOWr9Ds6HtHIdieR
これの2つ目、4つ目のコードは明らかに不協和音程ではあるけど高音弦2本が同じ音をドローン的に鳴らし続けているという文脈が背骨になっているが故に聴ける
ドローンがキーの音と5度の音であるというのもデカい
ギターは調弦的にも倍音的にも不協和音に寛容kbyshwtn.icon
もちろんピアノでも開放弦ドローンと同じことできるが、ギターのほうがそういうフレーズが思いつきやすい楽器なので聴く側も慣れてる
その瞬間の不協和を上回る連続性・文脈・流れがあれば単体の不協和音はあまり気にならない
これは和音・メロの内容に留まらず、曲のスタイルやテンションから感じ取れるアーティストのアティチュードみたいなものに依存する面も強い
合わせにいってるのにズレてるのがダサい
千葉雅也が『センスの哲学』で言及している「ヘタウマ」と「センスが悪いこと」の違いと似ている
これですね。不協和音がよくないのはスベッてると感じるからだと思います。Kai.icon
曲内の文脈、アーティストやシーン的な外在的な文脈においてスベッてると不協和音が成立してなく感じる。
僕の言ってる拙さという概念も割と外在的な要因で決まるところは大きいかもなkbyshwtn.icon
algrah_8371.icon
正直全然きにならない
でも逆に長谷川白紙やJacob Collier等の技巧派の不協和音あんまバイブスを感じないかも。作り手の意図や意思が見えて結構萎えちゃう
バイブスの有無をやりたいことへの愚直さで判断する
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みんなの意見みてて思ったが、不協和音といいつつ僕はスケールアウトとかノンダイアトニックコード(とか機能的に説明できないような和音)とかも含めて問題に感じているのかもしれん
拙さゆえの不協和音をどこまで許容するか#66f610e0e66f000000dd9110 ←これとかよくわかる