プログラムでは何に対する書き換えかは明記されるが法律ではされない
プログラムでは何に対する書き換えかは明記されるが法律ではされない
(shio)「みなさんもプログラムで何に対する書き換えかが明記されてなくても何に対する書き換えかわかるでしょ?」
nishio.icon残念ながらそれはダウト
プログラミング言語は人間が理解できるだけじゃなく、コンピュータが理解できる必要がある
なのでプログラミング言語は書き換え対象がどれであるかが一意に定まるように設計され、一意に定めるために十分な情報を人間が記述する
たとえば「財産→無体財産→知的財産→著作物」という包含関係は、クラスの継承ツリーという形で表現される
特に最近のプログラミング環境では、エディタ自体にプログラミング言語を理解する機能が実装されていて、人間がコード全体を把握しなくてもエディタが「財産→無体財産→知的財産→著作物」という継承関係を表示する
https://gyazo.com/f13aa895957d7a62b9d31a145183f2b7
(追記)
プログラミング言語的に表現するなら特許法は
code:java
class 特許権 extends 財産権 {
...
}
「財産権」を継承(プログラミング用語で、他の場所で行われた定義を引き継ぐこと)している
プログラミング言語では何を継承しているかは明記されるが、法律ではしばしば省略される
プログラミング言語でも「当たり前のもの」は省略されることがある
code:java
class Foo {
...
}
この場合Fooは暗黙的にjava.lang.Objectを継承する
法律の場合は「財産権」を暗黙的に継承しているのではないか?
財産権以外のものを暗黙的に継承しているケースがあるか?
この部分は最初「財産権」の部分を「物権」としていたが、これは誤り see: 特許権の継承ツリー 消さないで残しておく:
特許権の場合に、何も書いていないけども物権を継承していると判断した理由は
民法 第二編 物権 第一章 総則
(物権の創設)
第百七十五条 物権は、この法律その他の法律に定めるもののほか、創設することができない。
つまり物権は(契約などで我々が勝手に作れる)債権と違って、法律で定めるものだから。特許法を作って「特許権」なる新しい権利を作りますって場合、それは「物権」だと判断できる(ちょっとロジックがあやふや)
nishio.icon僕が思うに何に対する書き換えかってのはあんまり気にしたことがなくて、なぜなら条文1ユニットの単位でif文は構築されているので、それの解釈の際に書き換え元がどうであるかってのは参照する必要がないから
nishio.iconプログラマ語で言うならメソッドがオーバーライドされてる時に、元のメソッドを呼ばないので、元のメソッドの実装を参照する必要がない、って感じかなぁshio.iconなるほど!!
単に全部グローバル変数使ってるのかなと思った tomoyanonymous.icon
著作権法の規定によって元々民法がカバーしてた対象(定義域)に対しての挙動が変わったりはしないからグローバル変数とはちょっと違う感じがするnishio.icon
言うなればポリモーフィズム?同じ「財産権」でも、実行時型で挙動が変わる的な。Mine02C4.icon
nishio.iconポリモーフィズムに例えるのは半分納得、半分違和感。
「財産権」型Pの派生型として「知的財産権」型IPが存在し、そのさらに派生型として「著作権」型CRが存在して、民法555条はP型の「ある財産権」を引数に取る関数だからそこにCR型のインスタンスを渡すこともできる
第五百五十五条 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
一方でこの555条の挙動は「ある財産権」が著作権であるのかどうかによって変わりはしない
なので「実行時型で挙動が変わる」に違和感。
↑「実行時型」という言葉を、実行時(実際にこの法律を適用するとき)の、具体的な「ある財産権」インスタンスが著作権であるかどうかの情報、と解釈している
Mine02C4.icon名前を拡張すること(「財産権」→「知的財産権」、プログラミングで言う継承的な)はあっても、直接同じ単語の意味を上書きしてしまうケースはほとんど見られない気がする。(たまに「この法律において」という前置きで上書きされるらしい?)
異なる2つの法律が矛盾・競合していないことは保証されるのだろうか?
nishio.icon人間が頑張って矛盾しないようにしている(=つまりプログラマ語で言えば、保証されていない)shio.icon^^
shio.icon西尾さん、みなさま、どうもありがとうございます。よくわかりました。「code and law」の対比、面白い!!