道徳的な怒りとは「あいつだけずるい」である
https://youtu.be/5dEzitVB_9s
この動画の中でトニカクは「不倫を叩いてる=不倫をめっちゃ我慢してる」という説を唱えている
これはより一般化出来ると思っている。つまり、あらゆる道徳的な怒りは、「なんでお前だけやってんだよ、ずるいだろ」から来ている
おれは我慢してるのに、なんでお前だけ勝手に破ってるんだ!
例:遅刻が多い(多かった)人は、遅刻に対して寛容である
「なぜ男は、相手が女である場合に限って、"女が性行為を行うのは相手へ一途ではないこと"という前提を置くのか?」
男が勝手に女にたいして「だけ」「女は好きな相手にしか性欲を持たない(性行為をしない)」という前提を押しつけていないか?
そもそも、そんなことを思ってない、という可能性がある。
もちろん発話上はそのようなことを言うのだが、怒りの原動力はそこではないと思う
このような男性はこのように怒っている:「オレは恋人がいるから性欲を制御しているのに、あいつだけずるい!」
ここにある、「恋人がいるから→性欲を制御する」という規範を内面化/正当化するために、「恋人を想っているから」という理由のすり替えを行う
そしてこれが「一途である」という特性と結びつく
よって、規範の違反者へこう言う:「恋人のことを想っているなら、肉体関係を持つはずがない!」
これはもちろん、前述の通り「恋人がいるのなら、性欲は制御すべきだ」という規範の言い換えにすぎない
彼らの主観にとって、性欲の制御――そこらの女性とワンナイトしないこと、恋人の横ではなるべく他の女性を見ないこと、性欲に溺れず帰ってくること――は、紛れもなく、「恋人のためを想って行う、一途な行為」である。
ちなみにこの辺の規範と意識はフィクションにおける、「恋人が他の女の子を見ているのに嫉妬する女の子」の描写も関わっているだろう
故に、ほんとうは、そこに愛が前提としてあるか、なんてことはどうでもいい。
彼らは「性欲はもちろん抱くものである」という前提に立っていることすらある
彼らが言っているのは、「オレがお前のために必死になって我慢して守っている規則を、お前は踏みにじるのか」ということである。
この怒りは恋人が普段不貞への規範を厳しく口にしていればしているだけ、強くなるだろうと思われる。