赤芽球癆
pure red cell anemia
#血液疾患
赤血球造血のみが障害された疾患
1.先天性【だれ】乳児期に発症
Diamond-Blackfan anemia DBA
10-20%に家族歴がみられ、常染色体顕性・潜性遺伝形式をとる
約30%に低身長や種々の奇形を合併
赤芽球系前駆細胞の内在的異常(や造血抑制因子)の関与などが報告されている
リボソーム蛋白S19の遺伝子異常のために生じる翻訳の異常が貧血を引き起こす。
2.後天性
ウイルス感染(パルボウイルスB19など)
溶血性貧血患者が、パルボウイルスB19に感染すると、赤血球造血の一時停止がおこるため、急激に貧血が進行する(低形成発作:aplastic crisis)
薬剤(抗てんかん薬など)
自己免疫性疾患(SLE)、腫瘍(胸腺腫)
3.特発性
発症機序:赤血球系前駆細胞を抑制する液性免疫機序やT細胞およびNK細胞による細胞性免疫機序が報告されている
【検査】
中等度あるいは高度の貧血を示す例が多く、網赤血球は著減する
骨髄は正形成であるが、赤芽球は著減
白血球数や血小板は正常値を示す
血清鉄やエリスロポエチンは上昇
後天性:抗核抗体やクームス試験などの自己抗体がしばしば陽性
【診断】
白血球数や血小板減少がみられない正球性正色素性貧血で、網赤血球が低下している時に本症を疑う
DBAは1歳未満で発症することが多く、約30%に低身長や種々の奇形を合併することなどを参考にして診断する
後天性赤芽球癆では自己免疫学的所見が重要
【治療】
DBA:
副腎皮質ホルモン(約70%に有効)
シクロスポリン
造血幹細胞移植(治療抵抗性・輸血依存)
後天性赤芽球癆:
副腎皮質ホルモン(発症から治療までの期間が短いほど、治療開始時の赤芽球低形成が軽いほど良好)
免疫抑制薬(シクロスポリン)
胸腺腫合併例では摘出