心アミロイドーシス
全身臓器あるいは特定の臓器にアミロイド蛋白が沈着し,機能障害を引き起こす症候群である.
高齢者における心不全の基礎疾患として注目
【検査】
心電図:低電位差を認める.アミロイド沈着により左室が肥大するが,その肥大に見合わない低電位は心アミロイドーシスの特徴とされる.ただし,沈着するアミロイドの種類により出現頻度は異なる.
心エコー:左室壁肥厚と心電図低電位の組み合わせが特徴的
心筋生検:心筋へのアミロイド沈着を証明することによって,心アミロイドーシスが確定診断される.アミロイドはCongo-red染色で橙色に染まる.
心肥大や拡張障害を主体とした拘束型心筋症様症状を呈するほか,ときに収縮障害や房室伝導障害などの心不全症状,さらには心房細動や致死性不整脈なども引き起こす.
左室拡張障害による心不全を生じる.心アミロイドーシスでは,アミロイドの沈着による心筋の肥大が生じるのみならず,心筋が硬化することで左室拡張障害による心不全が生じる.左室収縮性は保たれる.
■アミロイドーシスの分類をおさえよう
心アミロイドーシスについての発展的な内容の出題であった.
老人性全身性アミロイドーシス(これは旧病名で,現在はATTRwtアミロイドーシスとなった)は野生型トランスサイレチンが沈着するもので,免疫グロブリンが沈着するALアミロイドーシス(多発性骨髄腫などに合併しうる)とは明確に区別される.2019年にATTR型心アミロイドーシスに対する治療薬タファミジスが保険適用となったこともあり,疾患の予後の改善が期待されている.
アミロイドーシスの型の分類(AL,ATTRv,ATTRwtなど)やそれぞれの原因物質・原因疾患に関しては今後も十分に出題が予想される.また,今回の出題では診断についても問われているが,心アミロイドーシスは心エコーで“granular sparkling”という所見がみられるのが特徴的であり,今後狙われうるかもしれない.
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