レミエール症候群
Lemierre症候群(Lemierre’s syndrome)
【病態】
主に扁桃炎・扁桃周囲膿瘍から始まった感染が咽頭周囲組織及び内頸静脈に波及し,血栓性静脈炎,菌血症,遠隔臓器の敗血症性塞栓・膿瘍形成へと至る
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【契機】
【症状】
咽頭痛(特に扁桃膿瘍)
その数日後に戦慄を伴う高熱
最初の症状から1~3週以内に
内頸静脈血栓静脈炎の症状(疼痛,発赤,熱感,腫脹)
遠隔臓器の敗血症性塞栓・膿瘍形成の症状
肺塞栓であれば呼吸苦・胸膜痛
関節炎であれば関節の腫脹・熱感・疼痛等
内頸静脈血栓静脈炎や遠隔臓器の敗血症性塞栓・膿瘍形成の症状が出た時点では,咽頭痛等の感染の契機となった部位の症状は目立たない,なくなっていることもあることは注意が必要である.遠隔臓器病変としては,肺病変(敗血症性塞栓,肺炎,肺化膿症,膿胸)が最も多く,他には関節炎,筋炎,骨髄炎,肝・脾膿瘍,中枢神経病変(髄膜炎,脳膿瘍,硬膜外膿瘍),心内膜炎等が知られている
【診断】
口腔咽頭の先行感染,それに続く菌血症,内頸静脈血栓性静脈炎,遠隔臓器の塞栓・膿瘍形成という臨床経過及び症状・所見から診断する.感染初期は高熱だけが前面に出ることもあるため,臨床的に疑うことが重要である.
内頸静脈血栓の確認には超音波や造影CTが有用である.遠隔臓器病変の評価にもCT検査等の画像検査が有用である.
微生物学的検査としては血液培養が最も重要である.しかし,嫌気性菌であるため発育に5~7日程度かかることも稀ではなく,菌血症が確認されていなくても鑑別診断に挙げる必要がある