DIP: Desquamative interstitional pneumonia
剥離性間質性肺炎
#呼吸器 #喫煙関連疾患
【概念】
組織学的に肺胞腔内に褐色組織をもつマクロファージの集簇を伴ったIIPsであり、喫煙との関連が推定されている。
※2025小松先生外来で見た患者さんは喫煙なく17歳発症だった
当初は肺胞上皮が剥離して肺胞腔内に集簇したと考えられていた。
【疫学】
IIPsの中でも稀な疾患(2-8%)
IPFと比較すると若年者に発症。40-50代に多い。
男女比は2:1。
90%異常が喫煙者
【病理】
肺胞腔内への高度の肺胞マクロファージ滲出が特徴的。
これらの肺胞マクロファージはジアスターゼ抵抗性のPAS陽性顆粒をもち、鉄染色でも陽性所見を呈する。
肺胞壁には、炎症細胞浸潤と軽度の構造改変を伴った線維化がみられる。病変の分布は比較的均一
【病態生理】
タバコ煙による肺胞上皮傷害や内皮障害によって、肺各所で種々の炎症性サイトカインやケモカインの産生が惹起され、マクロファージなどの免疫担当細胞が集積し病変が形成されると推定される
【症状】
数週から数か月の経過で緩徐に進行する咳や呼吸困難
【身体所見】
fine crackles
ばち指(26-46%)
【検査】
<血液検査>KL-6、SP-D、SP-A
<呼吸機能検査>拘束性換気障害、拡散能低下
<動脈血ガス分析>進行例で低酸素血症
<画像検査>
CXR:両側下肺野のすりガラス影
HRCT:下葉優位のびまん性のすりガラス影。小葉中心性肺気腫や嚢胞形成を伴うことも。(すりガラスの内部にあなぼこ(by小松先生))蜂巣肺は認めない。
<BAL>褐色色素を貪食したマクロファージを認める。一部の症例では、好酸球分画が増加
【診断】
確定診断には、外科的肺生検において組織学的にDIP病変を確認すること
【鑑別診断】
IIPsの他の疾患
NSIP: nonspecific interstitial pneumonia
(RB)-ILD: Respiratory bronchiolitis に比べて、DIPはHRCT上すりガラス影がよりびまん性に広がる
LCH: Langerhans cell histiocytosis
塵肺
※局所的なDIP様病変はDIP以外の間質性肺疾患でも認められる
【治療】
禁煙
ステロイド
【経過・予後】
10年生存率が70-88%
一部には治療に反応せず線維化が進行し呼吸不全に至る例も