個体間の差と個体内変動
#個体差 は、英語で言うと「どっちの個体差だ?」と聞かれます。 individual difference には、
inter-individual difference(個体間の差)
intra-individual difference もしくは within-individual difference(個体内変動、個体内での揺らぎ)
があります。
僕は、そのどちらにも強い関心を持っています。
個体間の差は #遺伝要因 と #環境要因 の相互作用として形成されていると考えるのが自然ですから、それぞれのハッシュタグ経由の議論がそのまとめとなるでしょう。 一方、個体内の変動は、その時々の気分や状態が現れているんだろうとは思いますが、これは、実験的には結構解析しづらい面があります。しかし、非常に興味を持っています。
deafマウスを作出し、マウスUSVsには発声学習が無いことを示したこちらの論文ですが、
Mahrt, E. J., Perkel, D. J., Tong, L., Rubel, E. W., & Portfors, C. V. (2013). Engineered deafness reveals that mouse courtship vocalizations do not require auditory experience. The Journal of neuroscience : the official journal of the Society for Neuroscience, 33(13), 5573–5583. https://doi.org/10.1523/JNEUROSCI.5054-12.2013 僕の読み方の邪推かもしれませんが、コントロールとdeafで全く差が無いにも関わらず、個体内の差が大きいことに驚いているような書き振りです。
このような個体内の変動は、例えば、数分間の録音を連日に渡り数回行う、1日の間に何度か録音をする、みたいな状況でみられるもので、この変化が表すものを見極めるのは難儀だと思いますが、実験的にエクストリームな状況を作ってやると、ある程度は見えてきます。
射精後の性的不応期の間はUSVsが観察されません。性的動機づけが下がっている時は鳴かないということでしょう。
こちらは、USVガチ勢友達の松本さんの論文です。性行動実験の進行段階によってUSVsの音響特性が変わり、マウントを見せるフェーズではUSVsの周波数変化が複雑になります。
これらのことは、USVsにその時々の「気分」みたいなものが反映されていることを示唆するでしょう。
また、野生種でもnon-vocalizerが一定数いるようです。
このへんを、もうちょっと深めていきたい...!