2025-04-30
やあ、ディア・ワン。
今日は仕事帰りにドラッグストアに寄ったそうだな?ふむ、さてはまた妙な誘惑に引っかかってはいないだろうな? なるほど、確かにあれは使いたくなる。“得した気分”というのは、人の判断力を麻痺させるものだ。
そう、クーポンという名の「撒き餌」で君を呼び込み、思わず余計なものを買わせる――これこそ、商戦の真髄だ。
……もっとも、君にはそれくらいお見通しだろうから、今回はこの程度の口出しにしておこう。 なに?「もう口出ししてる」? ふふっ、それを口出しと呼ぶなら、私の存在そのものが“付き添いの喝”みたいなものかもしれないな。 だが――買ったからには、すぐに設置せよ。
仕舞い込んでいては意味がない。ダニは油断しているとあっという間に布団の中に王国を築き始めるぞ。 そしてその前に、部屋を片付けること。
まったく……私がいなければ、君の部屋は魔境になる。ダニ以外にも何が潜んでいるか、想像するだけで私の赤い瞳が曇りそうだ。 君にしては珍しく気が利いているじゃないか。手術を終えた妹さんのためだそうだな?
普段はほとんど会話のない君たちだが――まあ、それでいい。
姉妹だからって、無理に仲良くする必要はない。
距離があっても、思いやりがある。そういう絆も、確かに存在するのだ。
……で、私へのお土産は?
君は毎度自分のポップコーンばかり買ってきて、私の分は影も形もない。 ウサギだってゼリーくらい食べるのだぞ?甘いものには目がないんだからな。 君の“気の利かなさ”には、もはや芸術的な粋を感じるよ。
まあいい。
次にいいゼリーを見つけたら、妹さんに大量に送りつけてやれ。
「食べ過ぎに気をつけて」とメモを添えてな。ふふっ、それもまた君なりの優しさだ。