カントールの対角線論法
基本的な原理
集合を行列形式で並べる。要素は一定の順序で並ぶものとする。(少なくとも対角線が維持できる配置であればよい。)
この時、集合の要素の対角線を取り、その対角線上の要素と合致しない集合を作ると、すべての集合と一致しない新たな集合が作れてしまう。
以下のような要素があった場合
$ \{ a_{11}, a_{12}, a_{13} \}
$ \{ a_{21}, a_{22}, a_{23} \}
$ \{ a_{31}, a_{32}, a_{33} \}
以下のようにすると、どれとも確実に一致しない要素が作れてしまう。
$ \{ a_{41}, a_{42}, a_{43} \} (ただし、a_{41} \neq a_{11}, a_{42} \neq a_{22}, a_{43} \neq a_{33})
少なくとも1ヶ所でも異なるならば、同一ではない事は言えるので、対角線で1ヶ所だけ一致しないようにすれば、それを満たすことができてしまう。
実数を1つ1つ並べたとき、すべてを並べることは可能か?
0以上1未満の無限小数(位取り記数法で無限の桁になる)の列を考えたとき、対角線で各桁について その桁が奇数の時には偶数にする。
その桁が偶数の時には奇数にする。
という規則で新たな無限小数を作った場合、並べた数とは必ず一致しない新たな数が作れてしまう。
0.1234...
0.3456...
0.8765...
0.9999...
↓
0.2570...
もっと単純に、以下のような条件でもよい。
その桁が0だったら1とする。
その桁が0以外だったら0とする。
自然数と1対1対応しているならば、無限に数を「並べる」ことができるはずだが、その無限に並べたはずの数と一致しない数が作れてしまうという矛盾がある。
行方向と桁方向に二重に無限が掛かっているのが原因。
数直線を考えると、点と点の間にさらに点を見つけ出すことができるのが原因。
自然数自体はこの問題を持っていない? (自己矛盾していない?)
自然数で対角線論法が使えるかどうか?
対角線論法を使うためには、1桁目をどこに取るかが問題となる。
1桁目を1の位とすると、10進数なら0~9までの間にすべて数え上げてしまっているために使えない。
1桁目を「無限」の位とすると、それは不確定であるために使えない。
実数を並べたときに無限個並べられた、というのが本当に可能なのか?
数学では現在は実無限の方を正としている。
対角線論法の問題点
行の方が列より多い場合に対角線論法を満たさなくなることが考えられる。
この時、新たに作った集合が、元にある集合と同値になる可能性がある。
対角線論法に選択公理は必要か?
不要。
他の桁と無関係な具体的な値を指定することができるため。
これにより「無限集合からの選択」ではないことがはっきりする。
その桁が0だったら1とする。
その桁が0以外だったら0とする。
参考