ベルトランのパラドックス
パラドックスと呼ばれるがパラドックスではない。疑似パラドックス。(定義の問題であるため)
以下、Wikpedia の引き写し。
円に内接する正三角形を考える。
その円の弦を1本無作為に選ぶ。その弦が正三角形の辺より長くなる確率はどれだけか?
円の半径が1の場合、内接する正三角形の辺の長さは$ \sqrt{3}になる。
正三角形は角が60度。頂点から中心に補助線を引くと、辺と補助線とで30度。
30度と60度の直角三角形の比から求められる。
本当の「確率」とは何かを理解しないまま、場当たり的に(真の無作為と異なる)弦を選ぶと正しい答えが出てこない。
正しく選択しないと確率空間における「弦の密度」が異なってしまうので正しい確率が出てこない。
「無作為な端点」(無作為な端点から別の無作為な端点に伸びる)と考えた場合
三角形を回転させて頂点を弦の片方の起点と考える。
すると、片方の端点は、三角形の頂点で区切られた1/3の区間で、短い方が2/3、長い方が1/3になる。
よって、答えは1/3になる。
弦が端点に偏り、一様分布しない。
中点も一様分布しない。
「無作為な半径」(半径の線と直角に交わる線)と考えた場合
中心から三角形の辺までの距離は1/2になる。中心から三角形の辺までの弦は辺より長く、そこから先は短くなる。
答えは1/2になる。
弦が一様分布する。
中点は一様分布しない。
「無作為な中点」(円の中のどこかが中点となる弦)と考えた場合
中点が半径の1/2より小さい位置にある弦は三角形の辺より長く、それより大きな位置にある弦は短い。
長くなる中点が存在する円の面積は、半径が1/2だから、面積比で1/4になる。
答えは1/4になる。
中点は一様分布する。
弦は一様分布しない。
ジェインズの解
最大無知の原則
与えられていない情報は使ってはならない。
無作為ならば、一様分布でなければならない。
弦が真に無作為に選ばれたならば、円の中の弦の分布も、円の中で切り出した小円の中の分布も同じ分布になるはずである。
以上を考えると、「無作為な半径」方式が弦が一様分布していることを示している。(つまりこれが正しい確率)
「無作為」と言われた場合、どうしたら一様分布になるかを考えなければならない。
確率空間を定義するとき、どういう定義が合理的(適切)かを考えなければならない。