メタフィクション発言と指標詞の意味論
「彼は私は馬鹿だと言った」
の「私」がこの文の話者なのか彼のことなのかという曖昧性を記号で明確化する
私x. 彼は「xは馬鹿だ」と言った -> He said I am a fool.
彼は「私x. (xは馬鹿だ)」と言った -> He said he is a fool.
これでいいのかな
(「私x.」はカギ括弧の階層のどこに置かれるかによって異なるxを取ってくる)
私: (人->S)->S
大域脱出、ラベル付きbreak
「「$ 私_2はバカだ」と彼は言った」と、$ 私_1は言った。→He said I am a fool.
ド・ブラウン・インデックス
ド・ブラウン・レベル
take私 (\x -> 彼は「xは馬鹿だと言った」)
彼は「take私(\x -> xは馬鹿だと言った)」
ドラえもんは作中で「ドラえもんの世界は現実ではない」といった。
(1) 現実x. ドラえもんは作中で「ドラえもんの世界はxでない」と言った。→ドラえもんが言ってることは真
(2) ドラえもんは作中で「現実x. ドラえもんの世界はxでない」と言った。→ドラえもんが言ってることは偽
「この文にあなたが意味論を与えようとしているところのメタ言語」という指標詞
対象言語からメタ言語を貫通して基底現実を取得する指標詞
「私のこの発話に対してあなたが意味論を与えようとしているその時点」
日本語が英語に意味論を与えていて英語が日本語に意味論を与えている胡蝶の夢
基底現実をcall/ccで表す
X=「ドラえもんは作中で「ドラえもんの世界は (call/cc (\P -> 現実x. (P(x)))) でない」と言った」
「あるアンパンマンは作中でXを発話した。」
→「アンパンマンは「ドラえもんは作中で「ドラえもんの世界は (call/cc (\P -> 現実x. (P(x)))) でない」と言った」を発話した。」
→(\P -> 現実x. (P(x))) (「アンパンマンは「ドラえもんは作中で「ドラえもんの世界は _でない」と言った」を発話した。」)
→現実x.「アンパンマンは登場人物が「ドラえもんは作中で「ドラえもんの世界はxでない」と言った」を発話した。」
→ドラえもんが言ってることはドラえもん世界が基底現実ではないということ
夢オチの構造
code:yumeochi.hs
do
..
..
callCC (\k -> 夢 k)
「…
…
…
というのは夢でした。」という文の構造を表現。
いや、do記法だと、(m>>=f) >>=gとなっていて、前の方は継続として扱われないからダメじゃないか
これだとcall/ccの後ろのほうを夢ということにしていることになってしまう
数 学 的 言 明 の 様 相 構 造 主 義 化 は 「現 実 世 界 に お い て」 と
いう 新 し い様 相 演 算 子 を 導 入 し た が 、 こ れ で は ま だ 足 り な い。
「猿 の方 が 蜘 蛛 よ り 多 い こ と も あ り え た 」 と いう よ う な 文 も 応
用 数 学 の 一種 と し て 処 理 し よ う と す る と 、 様 相 的 文 脈 の 中 で 現
実 世 界 に 戻 る た め の 演 算 子 だ け で は な く 、 「さ っき の 可 能 世 界 」
( 7 )
に戻 る た め の演 算 子 も 必 要 に な る 。 し か も そ れ ら の 事 象 様 相 と
し て の使 用 が 必 要 に な る 。 こ れ は 、 様 相 構 造 主 義 的 書 き 換 え が
ど う し て も 現 実 世 界 と 可 能 世 界 、 可 能 世 界 と 可 能 世 界 で の問 の
対 象 同 士 の関 係 づ け を 含 ん で し ま う か ら で あ る 。
し か し 、 こ れ は 様 相 構 造 主 義 に 特 有 の問 題 で は な い。 な ぜ な
ら 、 次 に 見 る よ う に 現 実 世 界 ・可 能 世 界 、 可 能 世 界 ・可 能 世 界
の 相 互 比 較 は 、 日 常 言 語 で は ご く 普 通 の現 象 だ か ら で あ る 。 例
え ば 、 「も し 相 続 に つ い て の 法 律 が 異 な って い た ら 、 そ の娘 は
そ の息 子 と 同 じ く ら い金 持 ち に な った だ ろ う 。 つま り 、 彼 女 は
いま 現 に そ の息 子 が 金 持 ち で あ る の の 半 分 く ら い は 金 持 ち だ っ
( 8 )
た ろ う 。」 や 「も し 君 が 大 統 領 に な った と し て も 、 僕 が 大 統 領
にな った 場 合 よ り ず っと 人 気 が な い だ ろ う ね 」 と い う よ う な 言
い方 で あ る 。 こ れ ら は 現 在 の 様 相 論 理 の標 準 的 な 枠 組 み の中 で
は ど の み ち 扱 う こ と が 不 可 能 な いし 困 難 で あ る 。 そ れ は 、 現 在
の様 相 論 理 の ル ー ツ が 論 理 的 真 理 と 論 理 的 含 意 の分 析 に あ り 、
基 本 的 に は 文 演 算 子 と し て様 相 を 捉 え る こ と か ら 出 発 し て い る
の に対 し 、 我 々 の様 相 的 な 語 り 方 に は 「か り に か く か く で あ る
よ う な ○ ○ 」 と いう 言 い方 、 つ ま り P O SSま ilia に つ い て の語 り
方 が ご く 自 然 な も の と し てあ り 、 こ の た め に 「か り に か く か く
で あ る よ う な 私 」 と 「か り に し か じ か で あ る よ う な 君 」 と の 比
較 も 朝 飯 前 だ か ら で あ る 。 ロー ゼ ン と バ ー ジ ェ スも 指 摘 す る よ
う に [B u rg eSS 卿 力o Sen 1 997 1 ㏄71145 ] 、 様 相 を 導 入 し て 数
学 を 唯 名 論 化 す る 戦 略 は ど こ か で こう し た 現 実 世 界 ・可 能 世 界 、
可 能 世 界 ・可 能 世 界 の相 互 比 較 を 援 用 せ ね ば な ら な く な る の だ
と す る と 、 こ の戦 略 を と る 唯 名 論 者 は こ う し た 語 法 を 自 然 に
う 方 法 を 編 み 出 さ ね ば な ら な い 。 し か し そ れ は 、 物 理 主 義 者 の
プ ログ ラ ム と は 独 立 に 、 我 々 が いず れ に せ よ 必 要 と し て いる も
の で あ り 、 既 存 の 様 相 的 語 法 の 研 究 の枠 組 み に変 化 を も た ら す
潜 在 性 を も っ て いる の であ る 。