ダダ
Dada
ヨーロッパとアメリカの複数の都市で展開された、反美学的姿勢、既成の価値観の否定などを特色とする20世紀前半の芸術運動。 「ダダ」という語は、ツァラが『ラルース小辞典』で偶然見つけたものという説があり、ルーマニア語で二重の肯定を意味する。ツァラは「ダダ宣言1918」を発表し、「ダダは何も意味しない」という語の意味作用からの切断と出来事の不確実性、一切の主体性や表現活動の根拠のなさを表明した。よって、ダダは何らかの教条的な主義主張を備えた「イズム」ではありえず、一切の価値観の相対化をもたらすものであり、ダダ特有の意味性の解体、破壊や否定の精神は20世紀芸術の原動力となっていく。 参考文献
『ダダイスム』 (ニューベーシック・アート・シリーズ),ディートマー・エルガー(Yoko Suzuki訳),Taschen,2006
『反逆する美学 アヴァンギャルド芸術論』,塚原史,論創社,2008
『ダダ・シュルレアリスムの時代』,塚原史,ちくま学芸文庫,2003
著者:沢山遼