キャバレー・ヴォルテール
Cabaret Voltaire(仏)
音声メディアと視覚表現とが混合する状態は、当時バルが関心を寄せていたカンディンスキーが理論や実作で探求していた諸感覚の統合や共感覚性を具体的な舞台空間のなかに導入するものでもあった。当初バルは演奏や朗踊を主とした、伝統的な演芸場に基づいた文学キャバレーを構想しており、「ヴァラエティー・ショー」ないし「芸術的エンターテインメント」のような快活で祝祭的な催しを行なうことを考えていたが、キャバレーの活動は次第にダダの主導者であるツァラの影響を受け、過激さを増していった。 参考文献
Dada East: The Romanians of Cabaret Voltaire,Tom Sandqvist,MIT Press,2006
著者:沢山遼