「キュビスムと抽象芸術」展
“Cubism and Abstract Art”
1936
年に
ニューヨーク近代美術館
で同館ディレクターの
アルフレッド・バーJr.
により開催された
企画展
。
キュビスム
からヨーロッパの
抽象美術
のさまざまな動向(
未来派
、
デ・ステイル
、
構成主義
など)に至る展開を
歴史主義
的に回顧することを目的として開催された。36年は、いまだアメリカの
抽象表現主義
が台頭する以前の時期にあたるが、
第一次世界大戦
前後をもって一度は終息に向かった
抽象芸術
の史的展開を整理する意味でバーが作成した
「モダン・アートの系譜図」
は、この展覧会のカタログの表紙に印刷されたものである。系統樹的に生成する
モダニズム
の発展史観を如実に示すこのダイアグラムはその後多くの場所で批判の対象となった。
展覧会では
パブロ・ピカソ
、
ジョルジュ・ブラック
から、
ドローネー
、
カンディンスキー
、
モンドリアン
、
ミロ
の
絵画
をはじめ
建築
、
映像
、
デザイン
などが展示されたが、最終的に抽象芸術は「
幾何学的抽象
」と「
非幾何学的抽象
」という二つの様式に至るというバーのダイアグラムは、国家間の対立を止揚し、インターナショナルな様式としてさまざまな前衛芸術を統合しようと意図するものであり、とりわけニューヨーク近代美術館という場所において強い象徴性を帯びることになった。
参考文献
Cubism and abstract art: painting,sculpture,constructions,photography,architecture
著者:沢山遼