道家
どうか
老子,荘子を代表とする諸子百家の一つ。『漢書』芸文志には道家者流 37家を載せる。儒家や墨家における人為性を排し,宇宙の根源的存在としての「道」にのっとった無為自然の清浄な行いを重視する思想。老子は,これを小国寡民的原始社会への復帰という形で,一種の政治的提言として主張したが,荘子においては,それは現実の相対世界を超越した絶対自由の境地として,きわめて個人主義的かつ逃避的な性格をもつものとなっている。漢の初期には,秦の苛政の反動からこの思想は一時非常に尊ばれた。のち,道家思想は神仙の術と結びついて道教を成立させ,また六朝以後は,知識人の観念的逃避の理論 (慰めの哲学) としても強い影響力をもった。 論文