過去遡及ロジック
2023/1/17 久住哲.icon
過去遡及ロジックを包括するより大きな思考法がある
過去遡及ロジックだけでは足りない
可能性の亡霊を生み出すことによって生まれる疑似問題を、拒絶するまでがセット
過去遡及ロジックとは……
ある時点において「そういうことだったのか」と気づいたことを、(無限の)過去に適用すること
ポイントは「現実が可能を生み出す」すなわち「現実は可能に先立つ」という逆説
アンチスピノザ、アンチプラトン
現実が可能に先立つという発想は覆い隠される。この点を自覚すべきなのに
知らないうちにやっている
このロジックは、このロジックを自覚しないところから疑似問題が生まれるのだ……という批判に使われる。 創造性への注意深さ
創造があるということを肯定する
可能だから発見するのではなく、発見するから可能になる。いや、〈可能だった〉ということになる。
創造などないというプラトニズムに対してのアンチ
時が進むにつれて本質から離れていき堕落していく
出所
例
青い鳥は青とは別な色から青くなったのではなく、〈青かった〉ということになる(見方が変わる)
後からはどうとでも言える
ここで「過去遡及ロジック」と呼んでいるものは、それを包括するより大きな思考法を前提としている。過去遡及ロジックは、気づきを無限の過去へと適用する人類的な思考の癖。これにより、認識の出現がまったく新しいものを生み出すという創造性が見落とされる。そのかわりに、可能性が亡霊のように存在しはじめる。事実は既に存在していた可能性の亡霊が受肉したものと考えられることになる。これは疑似問題の原因になる。こういった考え方はベルクソンの「可能と現実」にみられる。また、永井均の『子どものための哲学対話』における青い鳥の話もこの思考法の話である。
言葉の意味は恣意性なんです!
だから🐶を「いぬ」じゃなく「ぺっぺけぺー」と呼んでもよかったはずなんです。🐶が「いぬ」である必然性はないんですから!
🐶が「いぬ」と呼ばれてはじめて、それ以前の時代に対して、🐶が「いぬ」と呼ばれる可能性が付与される。したがって、🐶が「いぬ」と呼ばれる以前には、🐶が「いぬ」と呼ばれる可能性はまだなかった。🐶が「いぬ」と呼ばれてはじめて、それが「いぬ」と呼ばれることが可能だったことになった。「ぺっぺけぺー」も同様。今この例を出したから、過去にもそれが可能だったことになったのであって、この例を出す以前には、それは可能ではなかった。