芸術のための芸術
#文学
l'art pour l'art
芸術は美だけを目的とする自律的な存在であり、その他のいかなる目的によっても規定されるべきではないとする主張。
19世紀前半のフランスの「芸術至上主義」の標語であったが、現在では「芸術至上主義」とほぼ同義にも用いられる。
「人生のための芸術」l'art pour la vieに対立する。
この語の最も初期の使用例は、フランスの哲学者ヴィクトル・クザンの講義『真善美について』に登場するとされる。
クザンは「芸術が芸術のためにあるべきであるのと同様、宗教は宗教のために、道徳は道徳のためにあるべきである」と述べた。
テオフィル・ゴーティエ、ゴンクール兄弟、シャルル・ボードレールなどによって19世紀半ばの文学思潮のなかで普及した。
広義にはイギリスのオスカー・ワイルド(耽美主義)、アメリカのエドガー・アラン・ポーも同様の場にたつ作家としてあげることができる。
ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』の序文の最後には「すべて芸術はまったく無用である。」と書かれている。
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