箱男と構成
≪……………………≫の構成上の意味が不明
一応全部読んだんですが、≪Dの場合≫が終わってからの≪……………………≫からが全然分からない。≪ Aの場合≫はどのようにして箱男が生まれるのか、その例を示すために必要だったとは思うんですが、Dの場合は何のために必要だったのかも分からないです。なんだかんだどの部分も一つの物語に関連していると思うんだけど、自分にはDの場合だけ独立しているように感じました。 自分の感覚では箱男は一般的な小説と違って中盤が一番大事に思えてる。むしろ終盤が意味分からんくてストーリーにはあまり必要ない気がしました。
Dの章は見ること見られることについての寓話めいているように思います。それに彼は少年であるという。なんだかあそこに箱男というもののルーツが見られるような気がしました。
ラストの《……》の章を読んで、鮮やかにやられた感じがしました。そこまでは(まずありえないけど)まあ不可能ではないことばかりだったのが、あそこでガラッと変わるという。👀
一応あのサイレンは次回作『密会』へのつながりという話 救急車のサイレンは病院に引き戻されるというのは俺も同じ印象受けました。
作中、偶然の重なりが多いかもしれない。
イメージと場面が飛ぶ。
円環構造?または螺旋構造?
『箱男』に関する論文を見つけました
安部に関して、批評家たちはしばしば、一つの具体的な物を隠峨として用い、 その物を中心にして話を作る、という安部の技術について言及してきた。 しか し、安部の幾つかの小説において、安部があるテーマを具体的に表象する目的のみのために一つの物体を用いるだけではなく、テクストそのものをメタフィ クション的表象し、特に読者とテクストとの関係を表象する目的のために物体 を使用するという点が見逃がされてきた。
上の論文によると『箱男』は反-推理小説(テクストの謎を解こうとするという読者の欲望を妨げる小説)だそう。