第5回歌人・短歌紹介レジュメ
日程:10月2日(金)20:00~
テーマ:阿波野巧也『ビギナーズラック』
自分を俯瞰する作品を作ること。
カメラワークをこだわること。
抜粋
「ワールドイズファイン、センキュー膜っぽい空気をゆけば休診日かよ」
→自分だけ浮いている感じの印象を1首目で与える。
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センキュー からの 休(きゅう)診日
膜っぽい空気を進んでいったのに
がっくりきますね
「カロリーの摂取にメロンパンはいい となりでケンカしている男女」
→完全に情報だけの1首。カメラワークが俯瞰になってく絵が浮かぶ。
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「噴水がきらきら喘ぐ 了解ですみたいなメールをたくさん送る」
→まず擬音の上手さ。そして自分の話なのに曖昧な感じ。
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「街だって自然だし造花だって咲いてるよ。 どうしてぼくだけがぼくなのだろう」
→街や造花はしっかりと営みの中に溶け込んでいる。ぼくだけ特別な感覚。
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「冬のひかりにぼくの体があたたまる 都会で暮らしていたいとおもう」
→自分のことなのにとても客観的。
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「それでも町は生きものだからいい ぼくの自転車がない でも、だからいい」
→ここでは離脱感が軽くなっている様子が出ている。町の営みの一部になったような。
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「あなたには言えないことが多いから草原、こんなにもぼくの胸に」
→上も下もどちらも自分のことなのに下では他人事のような語り。
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「曲がらなきゃいけないところを過ぎてしまうごめんねってメールを打ちながら」
→秀逸。時間軸で言えば上句と下句は逆のはず。あえて前後させる上手さ。
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